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» 2005年05月16日 18時42分 UPDATE

次世代DVD、遠ざかりつつある“規格統一への道” (1/3)

次世代光ディスクの規格統一に向け、東芝・ソニー・松下による話し合いが先週末に行われた。会合は物別れに終わったが、そこで3社はどんな議論を繰り広げ、そしてどんな思惑が渦巻いたのだろうか? 規格統一への道が見送られた背景を探ってみた。

[本田雅一,ITmedia]

 先週末、速報でお伝えしたように、5月13日に東芝・ソニー・松下の3社が集まり、青紫レーザーダイオードを用いた次世代光ディスクの規格統一に向けた話し合いが行われた。しかし、日付が変わって14日深夜1時過ぎにまで及んだ会議は、結局は物別れに終わっている。

 ただし、「多少の弾力性が残されている」と前回の記事でも述べたように、わずかな可能性を残して翌15日に、3社による交渉が継続された。13日までの段階では、互いの開発の進捗状況や開発データを交換し、それぞれの考え方を主張しあったが合意には至らなかった。15日の交渉では、出尽くした感のある互いの主張を前提に、経営視点に立つトップ同士の“話し合い”となったようだ。

従来と同じ議論に終始した先週までの会議

 もともと、統一交渉が開始されたのは、東芝側からのアプローチだった。東芝本社トップの判断で、0.1ミリへの変更を検討することを前提にソニー・松下側に、統一規格の可能性を打診した。

 “この期に及んで”という句が浮かんできそうなタイミングだが、この時期まで技術面で全く歩み寄れなかった中で、東芝が0.1ミリ構造への変更を視野に入れた交渉をアプローチしたのは、ひとつには経営判断、もうひとつは0.6ミリ構造での大容量化(特に記録型の大容量・多層化)や将来の記録速度高速化が難しく、開発の現場からも0.1ミリにすべきではとの声が上がったからとも言われている。

 一方、ソニー・松下も0.1ミリ構造のディスク製造で、歩留まりを上げる事に苦労していたのも確かだ。ソニーは昨年、静岡のBD製造テストラインを公開し、さらにはハリウッドにあるSINGULUS TECHNOLOGIESの工場内にもテストラインを作った。松下はソニーとは異なるスピンコート方式の0.1ミリカバー層生産方式を開発し、オリジン電気との提携で同方式のBD製造ラインの熟成を急いでいる。

 しかし現時点において、両者とも良好といえる歩留まりは達成できていない。東芝関係者は何度かソニーの静岡工場を訪れ、BDの製造ラインを検証したというが、今年になってもプレス直後の数100枚を抜き取って検査する事を許されず、別途用意されたサンプルを持たされた。ところがそのディスクも、厚み誤差3ミクロンというBD-ROM規格に対して、“マージンなしのギリギリの精度”しかなかったという。

 またSINGULUSのBD-ROM複製ラインは、映画スタジオ筋の情報によると現状で60%の歩留まりを目指している段階で、最終的に95%を目標としているものの、具体的な時期については見通しが立っていないという。

 さらに、タイムリミットとして設定したタイミングまでに、松下のスピンコート方式について詳細な検証を行う時間は残念ながらなかったようだ。スピンコート方式の2層ROMが十分に安定するまでにはあと数カ月はかかると見られ、現状のデータだけでは東芝も納得できなかった。

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