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次世代DVD統一交渉、いよいよ大詰めに(1/2 ページ)

» 2005年05月13日 14時46分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 青紫レーザーダイオードを用いる次世代光ディスクの統一交渉が、今日5月13日、大詰めを迎えている。「明確な理由があるならば0.1ミリカバー層も許容する」という東芝本社トップの判断で3月からはじまった統一交渉は、今週中の決着を目指して進められてきた。

 来週米国で発表される予定の次期プレイステーションにはBDドライブが搭載される見通しで、さらに来週はBlu-ray Disc Association(BDA)の総会もある。何らかの変更を行うには、今の時期を外すことはできないのだ。来年以降の事業計画を考える上でも、5月中にこの問題を決着しなければ、このまま分裂する以外に道はなくなる。

 関係者によると今週金曜日、つまり本日行われている会議で話しがまとまらない場合は、統一への道はほぼ閉ざされるという。ソニー関係者に聞くと「20日ぐらいまでは引き延ばせる」と話しているので決着時期には多少の弾力性も残されているようだが、いずれにしても今日が大きな山場であることは間違いない。

 東芝、ソニー、松下電器産業の3社から、関連事業部のトップ2人ずつが交渉のテーブルに臨む予定。ただし、そのためにはいくつかのハードルを越えなければならない。

合理的理由を求める東芝

 統一交渉でもっとも大きなハードルになっているのが、東芝が主張してきた0.6ミリ構造を“あきらめなければならない理由”だ。

 0.6ミリ構造は現行DVDと同じであり、製造しやすく、DVDと互換の複製装置も作れる。安価に映像パッケージを配布することを優先させるならば、0.6ミリ構造が有利だ。

 ソニー・松下が主張してきた0.1ミリ構造でも、0.6ミリ構造と同程度の製造コストが実現できるという“合理的な理由と検証データ”がなければ、東芝はこれまで共にHD DVDを進めてきたパートナー企業に対して説明ができない。

 東芝は統一に向けて「物理的構造の変更やむなし」と判断しているが、技術に立脚した企業として0.6ミリ構造のメリットを説いてきただけに、簡単に経営判断だけで方針転換しては企業としての信用にも傷が付く。

 これに対してソニー・松下は、現状ある製造ラインのデータから、数カ月後には(コスト面の)問題は解決可能と予測できるデータを東芝側に示しているようだが、現時点で東芝側はそれらの見積もりを「楽観的すぎる」と判断しているようだ。

 統一のカギは、ソニー・松下が東芝への説得材料をどこまで出せるかどうかにかかってきている。

統一後は新規格に?

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