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次世代DVD統一交渉、いよいよ大詰めに(2/2 ページ)

» 2005年05月13日 14時46分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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統一後は新規格に?

 ディスクの物理構造という基本部分で、東芝が柔軟な姿勢を見せたのは、技術的に0.1ミリを支持したのではなく、経営判断としてその方が正しいと考えたためだ。BDドライブを搭載すると発表している次期プレイステーションに使われているCellは、ソニー・東芝・IBMの共同プロジェクトで開発されたプロセッサーだ。加えて統一すれば消費者側の混乱も回避することができ、市場の立ち上げもスムーズになる。

 もっとも、このような思惑はソニー・松下側も同じだ。東芝が基本構造で譲歩するとはいえ、ソニー・松下もこれまで進めてきたBD規格の開発に大きな変更を加えなければならない。“BD陣営”と表記されるソニー・松下側だが、今回の統一交渉は東芝がソニー・松下に個別にアプローチしたことがきっかけとなっており、両者はBDを代表して話し合っているわけではない。

 統一時にはBDの技術を基本に東芝のPRML技術やECC技術を盛り込む形になると見られるが、これらはBDに参加する他企業に承認を取ったものではない。既に開発している信号処理LSIなどは再設計となり、製品の準備を進めているBD関連企業は改めて事業計画を練り直さなければならない。

 既存BDとの互換性はキープできるが、その影響は決して小さなものではない。BDA幹事会メンバーからは、「すでに決まっている仕様を変える必要はない」という強硬論も出ているという。

 ソニー・松下ともに統一がもっとも理想的な形と判断して、BDAやパートナーへの合理的説明なしに統一交渉を進めており、基本構造は死守するとはいえ犠牲となる部分も小さくはない。ソニー・松下はともに「統一が可能なのであれば、名前にはこだわっていない」と話しており、“BD”は0.1ミリの基本構造を残して消滅するかもしれない。

 また統一が決定した場合、来年の中旬には立ち上げられるとしていた「BD-ROMを用いた映像パッケージ」の発売も、やや時期が延び、来年末ぐらいにずれ込む可能性もある。

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