5月18日、パシフィコ横浜で「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展」が開幕した。ハイブリッドカーや燃料電池車などに注目が集まりがちの自動車業界だが、電装部品やライトなど地味な部分も着実に進化している。中でも注目したいのがLEDだ。
パシフィコ横浜展示ホールで開催中の「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展」。会期は20日(金曜日)まで
LED照明は、省電力や長寿命といった数々のメリットを持つ“次世代”の光源。2〜3年後には現在の蛍光灯を超える効率を実現し、応用範囲を劇的に広げるといわれている(関連記事)。自動車技術展では、LEDを使ったコンビネーションランプやヘッドランプが参考出展されていた。
小糸製作所が展示していたLED光源のヘッドランプ。11個ものLEDを使用している
コンビネーションランプ。展示会場では、ほかにもスタンレー電気などがLEDランプを展示しており、期待の高さが伺えた
小糸製作所の担当者によると、「ヘッドランプの場合は、省電力による燃費の向上にくわえ、車のデザインを変えるものとして期待されている」という。消費電力はわずか4ワット。3000時間という長寿命も期待できるため、燃費やメンテナンスの面でも有利だ。
そしてコンパクトなLEDは、光源を複数に分けて自由に配置できるメリットがある。「現在、複数のバルブを使ったロービームというのは存在しない。しかし、展示モデルでは流線型の車体に沿った形で11個ものLEDを配置している」。
従来のハロゲンヘッドランプやディスチャージヘッドランプ(HID)などは、大きな単一の光源を設置することになり、どうしてもデザイン面の足枷になってしまう。対してLEDの場合は、車体の形に沿った形で光らせたり、逆に目立たなくすることも可能だ。モーターショーに参考出展されるような未来的なデザインの車も夢ではない。
同社によると、LED光源を使用したときの現時点では製造面の問題のほか、法規制があってLEDヘッドランプは使えないが、2007年初頭にはすべてクリアできる見通しだという。「製品化時は、現在(11個)の半分の数で、HIDと同等の明るさを実現できるだろう」(同社)。
LEDは進化の過程にある。2007年頃には現在のHIDと同等の明るさで消費電力を落としたヘッドランプが登場する見込み
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