高倍率ズーム市場も松下電器産業が「手ブレ補正付12倍ズーム」なんてすごいデジカメを2003年に投入してくれたおかげで、他社も負けるわけにはいかなくなり、2005年にはとうとうそれが当たり前になってしまった。「手ブレ補正付12倍ズーム500万画素」の時代到来である。これはすごい。
今回はその中からキヤノンの「PowerShot S2 IS」(以下、S2 IS)を取り上げよう。非常に高品質で使いやすかったが300万画素だった分やや損をしていた「PowerShot S1 IS」(以下、S1 IS)の後継モデルだ。
S2 ISを手にしたときの感想は「デカくて重いっ」。まあ多くの人がそう感じると思う。S1 ISも小さい方ではなかったが、S2 ISはさらに大きくなった。1/2.7インチ(300万画素)から1/2.5インチ(400万画素)とCCDサイズが若干大きくなったことと、10倍から12倍ズームにレンズが変わったことが主な理由。レンズ径もちょっと大きくなり、重さも約370グラムから約405グラムに増えている。バッテリーは単三形電池4本なのでそれを加味すると撮影時重量は500グラムくらいになる。
松下電器産業の「DMC-FZ5」が同等スペックながら小さくて軽いだけに、より大きく感じるのだ。
その代わりボディのデザインは本格的。グリップはしっかりしていて持ちやすく、シャッターボタンの位置もEVFの位置もいい。EVFを片目でのぞいて構えたとき、すごくしっくりくるのだ。それに丸みを帯びたずんぐりした形もいい。
それに大きくて重いが、レンズ収納時の厚みはあまりないので、バッグへの収納はしやすく、首から提げたときのバランスもいい。多少大きくても携帯時にかさばらなければあまり気にならないモノだ。確かに携帯時にはもっと軽い方がうれしいが、撮るときはこのくらいしっかりしていた方がよいので難しいところだ。
レンズは36〜432ミリ相当の12倍ズームでUDレンズを搭載。明るさはF2.7〜3.5。ズーミングにはEOS用EFレンズでお馴染みの超音波モーターUSMが使われており、ズーミング速度も3種類の速度が用意されていてレバーの倒し方ひとつで一瞬で大きく動いたり微調整できる。
光学式手ブレ補正には新たにレリーズの瞬間だけ補正が入る「撮影時」と上下方向のみ補正する「流し撮り」モードを搭載。ただモードの切替がメニュー内にあって即座に切り替えられないのは残念だ。
レンズのクオリティは大きいだけあってなかなかいい。望遠撮影時に気になるパープルフリンジ(輝度差が大きなエッジに出る紫色の縁取り)も高倍率ズームデジカメとしては少ない方だ。
画質面もさすがキヤノン。色は濃くてしっかりしてるし、コントラストもある。あまりハイコントラストな構図だときついが、高倍率ズームジャンルではトップクラスだ。
超望遠デジカメとなると、スポーツや動物など遠くにいる動くものを撮りたいことが多い。そこで重要なのがAF速度と連写機能だ。
前作は高倍率ズーム機としてはAFが遅く、シャッターチャンスを逃すことも多かったが、S2 ISはDIGIC IIのおかげでAFも高速化。S1 ISに比べて約45%の高速化を果たした。高速AFをウリにした他社の製品には及ばないが、体感的には十分実用的な速度で、ピントを外すことも少ない。ただ、AFは中央一点AFのみであり(AF枠を自由に動かすことはできるが)、コントラストが低い被写体だとピントが合いづらいこともある。肝心なときに「ピントが合わない」と言われることもあるので、そのときはさっとコントラストが高そうなところに向けてAFロックをかけるクセをつけたい。
レンズ部の付け根にMFボタンがあり、それを使うとマニュアルフォーカスもできる。MFボタンの下にはマクロボタン。マクロモードにするとワイド端で10センチまで寄れる。さらにスーパーマクロモード(マクロボタン長押し)にするとレンズはワイド端に固定されるが、レンズ前0センチでの撮影が可能だ。
連写機能は高速連写で約秒2.4コマ、通常連写で秒1.5コマでメモリカードがいっぱいになるまで連写できる。これはよい。
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