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HD2+採用DLP機が35万円弱――BenQホームプロジェクター「PE7700」レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style(2/4 ページ)

» 2005年06月24日 00時41分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 また、単板DLPでカラー表示を行うためのカラーホイールはRGB×2の6セグメント構成になっている。HD2+を採用するもっと上位のクラスでは、単板DLPが不得手な暗部の階調表現を高めるため、グリーンフィルターにNDフィルターを組み合わせた濃緑セグメントが用いられることが多いが、これが本機では採用されていない。

 補正項目にガンマの設定が変更できない点もやや気になった点だ。また、映像ソースが480iの場合に、やや動きボケのような解像度が不足するように見える場面があった。SDソースの拡大表示に関しても、不可もない代わりに特別良い面もない。やや解像感に乏しい印象だが、価格を考えれば納得のレベルである。

 ただし、480iソースのデインターレースに関しては、DVDプレーヤー/レコーダーの多くがプログレッシブ出力を備えていることを考えれば、さほど大きな問題ではないだろう。

 なお、レンズシフトがないことは既に述べた通りだが、ズームに関しては1.37倍、16:9スクリーンに対する100インチ投影はおよそ2.9〜3.9メートルと、かなり広角の設定だ。

 入力端子はコンポジットビデオ、Sビデオ、5BNC(RGBとYPrPb兼用)、コンポーネント映像、HDMIが揃っており不足はない。

photo 豊富な入力端子
photo 付属のリモコン

こってりとした肌色が特徴

 実際にPE7700を視聴してみると、肌色のこってりとした濃厚な表現を真っ先に感じる。

 国産製品の場合、比較的あっさりと爽やかな色調で肌を見せる製品が多いが、本機はこってりと濃いめ。よく言えばふくよかで立体感があり、ふくらみのある表現と言えるが、好みによっては少し濃厚さが過ぎると感じるかも知れない。

 全体的な色調も艶やかで彩度が高めの絵となる。ただし純度の高い赤の出がいまひとつで、濃度が上がる途中まではきれいに彩度が伸びるものの、最後はやや赤黒い方向に向かう。感覚的には高濃度な赤が出ているように感じるよう工夫はされている。一方で青や黄色はやや控えめ。

 また、低輝度のパートでは若干、緑が乗る印象だ。ハイライト部は緑かぶりはないものの、やや青みが強く色温度が高めと感じる。中間トーンでのホワイトバランスには問題はないため、このあたりはRGBのオフセットとゲインをチューンすることで合わせ込むことができるだろう。ハイライトに関しては特に補正しなくとも問題はないと思うが、シャドウ部の緑かぶりは低輝度シーンの多い映画で目立つ。

 もっとも、これら気になる部分の調整項目はメニュー内に存在するため、映像調整ソフトを用いることで追い込むことも可能だ。黒レベルやハイライトのレベルは適切なので、ややずれている色合いを画像調整ソフトで最適化し、あとはRGBのオフセットとゲインを最適化すればいいだろう。投影画像の撮影はすべてプリセットモードで行っているが、例として貸出機において設定したパラメータを最終ページに例示した。

 ただし完全にニュートラルなグレースケールを作るのは難しく、最暗部にわずかに緑かぶりを残しておくぐらいの調整の方が良いようだ。また調整ソフトとブルーフィルターを用いて色の濃さを調整すると、デフォルトよりもやや高めの濃度になるが、実際には元々高い彩度がさらに高くなってしまう。デフォルト値あるい好みによって-1〜-2程度に合わせ込むのがいいだろう。

白ピークの伸びたパワフルでキレのある映像

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