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「欲しかった。作るしかなかった」――高品質DVD-R「森メディア」インタビュー(2/3 ページ)

» 2005年07月15日 00時10分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 製造自体にもコダワリが結実しているが、製品として販売する前のチェックも厳しい。PIエラーに関しては、規格として定められているレベルの10倍という厳しさで、しかも2000〜5000枚の小単位で管理を行っているという。もちろん、その検査をパスしなかったメディアは出荷されない。「メーカーではとてもできないような検査を通った製品を出したかった」

photo 森氏の自宅。個人レベルを遙かに超えた検査機器などが並ぶ

推奨は6倍速記録――「すべては高品質のために」

 こうして製造される森メディアだが、記録については6倍速記録が推奨されている。高速化が進む昨今ではやや物足りなくも感じるが、これはDVD-R記録についての規格が6倍速を基準に策定されており、これに基づく設計を行ったためだ。もちろん色素は「一流メーカー品」(森氏)を使用しているので、12/16倍速での記録もドライブによっては可能な場合があるのだが、森氏としては推奨しないという。

 ドライブについては、現在のところパイオニアの「DVR-A08/108」「DVR-A09/109」、NECの「ND-3500A/3520A/3530A/3540A」、日立LGの「GSA-4120B」、加えてDVDレコーダーの「DIGAシリーズ」が推奨製品として挙げられている。一方で、プレクスターの「PX-708A/712A/716A」では「相性が悪い結果が出ている」とアナウンスされている。

 「プレクスター製品は個人的にも大好きですが、どのドライブに対しても等しく最高の品質を提供することは物理的に無理なのです。プレクスターの該当製品では、森メディアのランドプリピットが読み出しにくいという結果になってしまっています。高品質を保つために、取捨選択せざるを得なかったという点を理解頂ければと思います」

 発売されている森メディアのラインアップは10枚組(プラスチックケース入り)と、125枚組(シュリンクパック)/500枚組(シュリンクパック4本入り)。もう少し買いやすくという声から、大手量販店では1枚単位(プラスチックケース入り)での販売も行われるほか、25枚組なども計画されている。

 これらのパッケージングにも、森氏のコダワリがあふれている。

 使われているプラスチックケースは、通常の市販品よりも厚みのあるオーサリングメディア用(10ミリタイプ)が採用されている。このプラスチックケースはメディアにかかる負担や静電気を極限まで軽減する作りになっており、ケース内でメディアが回転するほどだ(手にして振ってみると、回転する音が聞こえる)。また、収納時に棚などでケースが斜めになることも多いが、そうした場合でもメディアに負担をかけないケースの厚さが“10ミリ”なのだ。

 レーベル面はシルバーのプリンタブル仕上げとなっているが、これは「3Dメタリックプリント技術」と呼ばれる技術による2層構造となっている。光の屈折率が異なる2層を設けることで、印刷した内容がまるで浮かび上がるように見える。

photo 表面に印刷された文字が浮き上がるように見えている。これも森氏のコダワリ

 3Dメタリックプリント処理は紫外線でメディアに固定させる必要があるため、書き込みストラテジに影響がないレベルで紫外線に強い特性も獲得している。また、この処理によってメディアへ厚みと比重を持たせることで、ワウやフラッタを低減するという効果もある。

 「肌色や黒い文字がきれいに出る現在の仕上げになるまでにも、かなりの試行錯誤がありました。ホワイトのプリンタブル仕上げにすればもう少しコストを抑えられたかもしれませんが、ここもコダワリということで(笑)」

挫折を乗り越え、「使いたいから作った」

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