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新DLPでホームプロジェクターはどう変わる?劇場がある暮らし――Theater Style(1/3 ページ)

» 2005年07月29日 18時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 今週7月26日に発表されたTexas Instruments(TI)の新DLPチップセット「DLP.65」、およびDMDチップの制御技術である「BrilliantColorテクノロジー」は、特にホーム用途におけるプロジェクターの勢力図に大きな影響を与えそうだ。

photo 新DLPチップセット「DLP.65」

 0.65インチの新DMDチップを使った「DLP.65」は低価格のハイビジョン対応DLPを実現する技術として、そしてBrilliantColorテクノロジーは単板式DLPの欠点を補ってくれる可能性があるなど、来年以降のフルHD対応DLPへの期待感も煽るものになっている。

 まずDLP.65だが、このチップの解像度は1280×768ピクセル。データ用としても十分に使える縦768ピクセルの解像度と、ホームシネマ向けにも使える16:10のワイドなアスペクト比を持ち、従来よりも大幅に小型化された(従来は0.8インチで720p)のが特徴だ。

 いくつかのプロジェクターベンダーは、すでにこのチップを用いた家庭向けDLPの開発を進めており、16:9アスペクト比で考えると少し縦方向に多い解像度(縦720→768ピクセル)であることを利用して、ピクセルの余裕分をシフトさせるデジタルレンズシフト機能を盛り込んだ新製品が近く登場する見込みである。価格帯も実勢価格で30万円程度になるようだ。

 横1024ピクセルのDMD素子を用いたプロジェクターとも共通のシャシーや光学回路を利用できるため、メーカーは既存のXGA DLPを実勢価格20万円程度に置き、同じ筐体で720p DLPを30万円程度に設定するといったラインナップを取る事が可能になる。

 720p対応DLPは、このところHD2+を採用した低価格機が登場し、中には30万円を切る製品も登場している。いずれもTIが提供しているリファレンスの設計を踏襲したもので、専用設計で100万円前後の製品が中心だった720p対応DLPの市場に大きな変化をもたらしている。

 DLP.65に採用されているコントラスト改善技術「DarkChip2」は、HD2+で採用されているのと同じもの。プロジェクターの場合、光学回路やレンズ性能でコントラストなどの性能が変化するため、チップレベルでの比較にはさほど意味はないが、そのポテンシャルが同等ならば、プロジェクター自身の小型化やそれに伴う低コスト化という面で大きな期待ができる。

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