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新DLPでホームプロジェクターはどう変わる?劇場がある暮らし――Theater Style(2/3 ページ)

» 2005年07月29日 18時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 なおTIはHD2++に採用しているDarkChip3というコントラスト向上技術もあるが、日本TI DLP事業部技術統括部長の大原一浩氏によると、現段階ではプロセス技術上の問題で画素ピッチが狭められた新チップではDarkChip2の採用に留まっているという。

photo 日本TI DLP事業部技術統括部長の大原一浩氏

 また0.65インチでのWXGA解像度で実現された画素ピッチから計算すると、0.97インチ程度で1080P解像度を実現するDMD素子も開発が可能になる。細かなサイズはともかく、1インチ下回るサイズになれば、家庭用のフルHD DLPも視野に入ってくるかもしれない。これまで家庭用としては0.8インチクラスが最大のDMDだったため、光学回路の再設計は必要になるだろうが、透過型液晶パネルがフルHD対応となり、反射型液晶パネルの低価格化も進む中ではDMD素子のフルHD化も不可欠だ。

 フルHD対応の素子はTIもSmooth Pictureという技術で実現しているが、これは時分割によりひとつのミラーで2画素を実現するもので、画像がパンする場合などに絵が壊れるケースがある。TIとしてはホームシネマに特化したフロントプロジェクター向けには、Smooth Pictureではなく独立した画素を持つ素子でフルHD対応が必要と考えているようだ。

 日本TI DLP事業部長のピーター・ヴァンケッセル氏は「技術的に可能であることと、製品を投入するかどうかは別の問題だ。DLPは視覚的な解像度が高く、他方式とピクセル数だけで同列に比較してほしくはない。フルHD対応DMD素子がいつ登場するかは市場の要求による」と話した。しかし、台湾のOEMベンダーなどによると、どうやら来年の比較的早い段階にはフルHD素子を採用した家庭向けDLPを発表するべく開発が進められているという。

photo 日本TI DLP事業部長のピーター・ヴァンケッセル氏

 フルHD対応のプロジェクター向け素子は、他にもビクターが0.7インチサイズのD-ILAチップを発表しているほか、ソニーもInfoCommで0.61インチのフルHD対応SXRDのスペックを公表している。いずれもスペックを見る限り、小型化による弊害はほとんど見られない。

 このうちビクターはリアプロジェクションテレビ向けを優先し、フロントプロジェクターの低価格化は来年以降と考えているようだが、ソニーの小型SXRDは比較的採用が早いのではないかと見られている。もちろんD5プロセスで製造されるエプソンの透過型液晶パネルも、採用する製品が登場すれば、このフルHD市場に絡んでくるだろう。

BrilliantColorテクノロジーで画質はどう変化する?

 一方のBrilliantColorテクノロジーは評価が難しい。その概要は別記事を参照していただきたいが、前出の大原氏によると、色再現域の拡張だけでなく、カラーブレーキングや中間輝度の向上といった効果を得ることが可能との事。また、単純に使えるカラーフィルターが増えるだけでなく、組み合わせる画像処理チップの能力が高まっていることによる効果も大きいようだ。

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