ITmedia NEWS >

新DLPでホームプロジェクターはどう変わる?劇場がある暮らし――Theater Style(3/3 ページ)

» 2005年07月29日 18時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 大原氏は「従来のRGB×2の6セグメント構成でも、色再現や階調はこれまでよりも改善される。これは新開発の画像処理チップが貢献している。補色カラーフィルター採用による色再現域拡大や明るさアップなどは、あくまでも選択肢。DLPベンダーは、これまでよりも多い選択肢からカラーフィルターをチョイスし、より優れた信号処理で絵作りを行える」と話す。

 たとえば補色フィルターを使う場合も、RGBによる絵をどの程度補助するのか補色カラーフィルタの混合比を選択でき、どの色を用いるのかも選べる。また補色フィルターにより明るい色の再現域が拡大できるなら、RGBの各フィルターをより濃い(つまり透過率は低いが純度の高い)ものにすることで、従来より深みのある赤や青を出すことも可能だろう。これらの自由な組み合わせにより、画一的ではない多様なDLPが生まれるというわけだ。

photo 映画のシーンでの比較。左が処理なし、右がBrilliantColor処理ON

 低価格のDLPは、TIによるリファレンスの光学回路を用い、レンズや筐体、絵作りなどでベンダー間の特色を出している。しかも数量的にはデータ用途が圧倒的に多いため、リファレンスデザインはデータ用としての使いやすさを狙った設定だ。レンズシフトによる設置性の向上や、大きめの迎え角(投影方向。データ用ではテーブル置きで見やすい場所に投影するため迎え角が大きい)のまま家庭向け商品化される事が多い。

 家庭向けに別途、光学系を設計すると価格面で大幅に高くなるため、メーカーとしてもなかなか家庭向けに特化した低価格DLPを作れないジレンマがある。今回の0.65インチDMDは、0.7インチDMD素子向けのデータDLP用光学回路の基本設計を引き継ぐと見られる。

 そうした点も含め、これから登場するだろう0.65インチDMD素子を用いたDLPが、どこまで使いやすいものになるのか。そして画質面でBrilliantColorが単板DLPにどのような変化をもたらすのか。年末商戦に向けてD5プロセスの透過型液晶プロジェクターも含め、実際の製品における実力が注目される。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.