コラム
» 2005年08月01日 11時00分 UPDATE

小寺信良:急速に拡大するVOD事業の夢と現実(前編) (1/4)

VODサービスが急速に拡大しつつある。中でも最近は、テレビ局の積極的な参加が目を引く。こうしたテレビ局の動きの背景と課題、そしてVODが普及するための条件を考えてみた。

[小寺信良,ITmedia]

 この夏から秋にかけて、さまざまな業態が相次いでVODサービスに参入しようとしている。ブレイクするすると言われ続けてはや数年、ようやくサービスとしての形が見え始めてきたようだ。

 新しく始まるVODサービスで目を引くのが、テレビ局の積極的な参加だ。VODの普及にはキラーコンテンツが必要なのは言うまでもないが、今まで放送を生で見るか録画するしかなかったテレビドラマやバラエティ番組がVODで登場するとしたら、そのインパクトは大きい。

 放送局別の動きを見ていくと、時系列(参入発表や開始日など)はかなり入り組んでいるが、大まかには次のようになる。

  • TBS

 まず今年4月19日にTBSが、ネオ・インデックスのVODサービス「Nextensive VOD」用にコンテンツ提供のライセンスを結んでいる。そして7月25日に、電力系通信インフラのパワードコムがVODを始めるにあたってネオ・インデックスと提携していることから、近い将来、TBSのコンテンツが「TEPCOひかり」の回線に流れることになるだろう。

  • NHK

 5月26日にCATV大手のジュピターテレコムが、「J-COM Broadband」のVOD商用実験に対してNHKからのコンテンツ提供受けると発表した。今年7月1日には、「BBケーブルTV」、「KDDI光プラスTV」でもNHKのコンテンツ配信が始まっている。また8月1日からはぷららの「4th MEDIAサービス」で、9月1日からはNTTコミュニケーションズの「Com CoDen光サービス(OCN Theater)」でも配信がスタートする。

  • フジテレビ

 7月12日には突然といった形で、フジテレビが7月下旬よりVODサービスを開始すると発表した。水面下で進んでいた話だったのだろうが、事前に提携の発表も何もなかったので驚いた。多数のISPに対して、スポーツなどのコンテンツをPPVスタイルで提供するという。当初は1番組210〜525円という価格を設定している。

  • 日本テレビ

 日本テレビはフジテレビがVODサービス発表した12日に、「VOD配信について鋭意検討中」と発表したが、事実同社は今年度から、ソニー系列のブロードバンド配信会社であるAIIに資本参加している。その1週間後の7月19日には、日本テレビが10月に番組のVODを始めると正式発表した。

 鋭意検討中レベルから正式発表までたった1週間しかないわけだが、下準備してきた割にはフジテレビに抜かれて悔しかったのだろうか。このスピード決定には、当然業界1位2位を争う間柄のフジテレビのサービス開始が後押しとなったはずだ。スタート時期は10月の予定で、当然配信にはAIIの配信基盤を利用することになるだろう。コンテンツは3〜15分程度の短めのものを、1本あたりで課金するという。

  • テレビ朝日

 7月25日には、テレビ朝日がバラエティ番組「内村プロデュース」からの派生番組を、8月1日から試験的にVOD配信すると発表した。料金は月額480円で期間限定、しかも視聴には番組の中で公開されるパスワードを入力する必要があるなど、番組のプロモーション的な性格が強い。配信は同番組の公式サイトから行うという。

 この中でも、単にコンテンツ提供だけでなく、自社資本で配信までやろうとする日本テレビの取り組みが、一番本格的な参入だと言えるだろう。10月にオープンする会員制サイト「第2日本テレビ」(仮称)の名称からも、VODをもう一つの放送の柱にしたいというリアリティを感じさせる。

取り払われてゆく壁

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