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トータルバランスが魅力の新しい“Z”――三洋「LP-Z4」レビュー:Theater Style(2/3 ページ)

» 2005年11月24日 01時18分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 さらに極めつけは、ダブルで搭載された電動アイリスの搭載だ。

 アイリスとは絞り機構の事で、Z3では63段階のレンズアイリスで投射像の明るさをコントロールし、黒浮きと白ピークをカラーモードごと、好みのバランスに整える事ができた。

 最適な絞り位置は、プロジェクターの光出力、スクリーンのゲイン値(反射率)、スクリーンサイズ、部屋の暗さなどによって最適位置が異なる。Z4でも電動レンズアイリスは継承されており、従来通りの視聴環境に最適な設定を選ぶことが可能である。加えてZ4では、明るさとコントラストのバランスを取れる電動ランプアイリスも搭載した。

無理をせずナチュラルな見え方を重視したアイリス制御

 ランプアイリスは、ランプ直後に置く絞り機構で、液晶パネルの視野角が弱い方向からの光入射を制限することで、コントラストを上げる事ができる。ランプアイリスを絞ると、当然ながら光出力が減るかわりに同一画面内のコントラストを最大化できる。

 Z4に用意されている画調モードプリセットの中で、もっともマニアックにシネマ画質を追求した「ピュアシネマ」は、ランプアイリスを最も絞り込んで固定した状態で作り込まれている。この場合、レンズアイリスを解放にしても光出力は弱めで、ローゲイン(0.8〜0.85程度)のホワイトマットの場合、80インチ程度でその良さをもっとも引き出す事ができる。

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 ピュアシネマ時の絵作りは、ハイライト、シャドウ両方の階調をしっかりと見せようと意識したもので、コントラスト感を引き出すために黒を引き込むといった恣意的な操作は一切行われない。ハイライト方向も同様で、光出力が弱めとなる事も含め、絵の力強さは今ひとつ。色温度もおそらく5500度程度。

 完全に映画向きのプリセットだが、階調表現の滑らかさ、ハイライト、シャドウの見通しの良さを重視するならば、これをベースに細かなパラメータの調整を追い込むといい。ランプ出力が135ワットから145ワットへと高められている事もあり、前モデルZ3のピュアシネマよりは扱いやすいはずだ。

 さらにランプアイリスは、画面全体の輝度レンジに応じて自動開閉するオートモードも備えている。画調モードで言えば「クリエイティブシネマ」など、ピュアシネマ以外のモードが活用しているが、各モードごと開閉幅などの制御は異なる(ちなみにスペック上のコントラストは「ビビッド」時のもので、この際に開閉の範囲が最も広くなる)。

 映画向きのクリエイティブシネマでは、ランプアイリスの自動制御幅は2倍程度に抑えられているそうで、実際に映画を視聴していても場面転換などで不自然さは感じられない。Z4では光量自動制御のリアクトイメージも同時に利用可能で、クリエイティブシネマではランプアイリスとともに設定されているが、これら光源の自動操作を行ってもナチュラルさは失われない。このあたりの作り込みはなかなか見事。

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