コラム
» 2006年01月06日 16時08分 UPDATE

西正:2006年、「放送と通信の連携」の行方はどうなる? (1/2)

「放送と通信の連携」の行方が注目されるところだが、明暗の両面が見られる年になりそうだ。ワンセグ放送では予想以上に連携が進むことになるだろうが、一方でNHK改革の動きが連携に水を差すことになりかねない。

[西正,ITmedia]

ワンセグ放送が進める自然な連携

 4月からワンセグ放送が始まる。携帯電話機でテレビ放送がポータルとして機能することにより、「放送と通信の連携」は無理なく自然に進み始めるだろう。連携のネックとして常に著作権問題が壁となってきたが、ワンセグ放送にはその「壁」がない。新たなサービスへの順応の早い若者たちのライフスタイルの中で、放送と通信は無意識のうちに連携していくことが予想される。

 携帯電話機でネット機能を使う際、瞬時には立ち上がらないことに違和感はない。ところがテレビ放送が受信できるようになると、スイッチをオンにするだけで瞬時に映る。固定テレビでは当たり前に思っていたことが携帯電話機上で実現した途端に、何とも使い勝手が良く感じられるであろう。

 携帯電話機を肌身離さず持ち歩く若者たちを中心に、ごく自然にテレビをポータルとして通信サービスを利用するスタイルが定着していくことになると思われる。

 電車の中をはじめとして街のいたるところで、携帯電話機とにらめっこをしている人の姿を見かける。その様子を何気なく見ていて気付くのは、必ずと言っていいほど親指がせわしなく動いているということである。その理由はメールを送っていたり、読んでいたり、さまざまな有料サイトから情報を得ていたりと、人それぞれだろうが、静止したままで携帯電話の画面を見ているだけの人はほとんどいない。

 そうした携帯電話の使い方自体に着目することが重要である。テレビが映るようになったからといって、イヤフォンをしながらテレビだけを見ていたら、バッテリーは2時間程度で切れてしまう。本来は電話機であるのに、バッテリーが切れてしまったら電話をかけることすらできなくなってしまうと心配する声も耳にする。確かに携帯キャリアからすれば何のメリットもなく思えてしまうだろう。

 携帯電話の小さな画面で2時間もテレビを見ていられる人はいないから大丈夫だとも言われる。しかし、それ以前の問題として、携帯電話の画面を見ている人は、常に親指を動かしているというスタイルの方に着目して、新たなビジネス展開を行うことが肝心である。

 瞬時に映るテレビ放送はポータルとして最適である。つまりテレビ放送を見ていると、分かるものならば知りたいと思う情報が多いのである。

 手持ち無沙汰な時に携帯電話を取り出す人たちにとって、瞬時に映るテレビは、特に見たい番組があるわけでなくても、何となくスイッチをオンにさせる力がある。その時にたまたま放送中の番組を見ていて、バックに流れている音楽の曲名、紹介されているレストランやデートスポットの場所、出演者が着ているファション情報などなど、知りたい情報はいくらでもあるだろう。

 固定テレビで見ていた時には、そうした情報が知りたければ、PCを起動させてHPなどにアクセスするという手がある。しかし、わざわざPCを起動させてまで知るほどのことでもないと、簡単にあきらめてしまうケースも多かったはずだ。

 ワンセグ放送が始まって最も変わる点が、そうしたテレビ番組の情報を容易に入手できるようになることである。携帯のテレビ画面からワンクリックで番組関連サイトに移動すれば、知りたい情報を簡単に入手できるようになる。

 情報を入手できるだけでなく、ショッピングまでできてしまうようになる。eコマースに慎重な人たちも、テレビ局の信用が背景にあって、代金決済も携帯電話料金と一緒に支払うことができれば、新たに利用し始める可能性も大きい。

 そこまでは行かないにしても、まずは情報を入手しようと考える人が圧倒的に増えていくに違いない。手間さえかからないのであれば、もともと親指を動かしながら携帯を使うスタイルとマッチして、テレビ画面から関連サイトへ移動することは極めて一般的なこととして捉えられていくに違いない。

 わざわざ「情報を入手しよう」という決意などは不要である。自然と親指が動くことになるだけである。

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