コラム
» 2006年02月06日 10時20分 UPDATE

小寺信良:PCモニタの終焉がもたらす「マルチキャストルーム」構想 (1/3)

テレビとIPの融合が進むにつれ、テレビとPC用モニタを一元化したいというニーズが出てくる。PC世代の老齢化とともに大型テレビサイズのPCモニタも必要となる。そこから出現するのは、リビングとも仕事部屋とも言えない「マルチキャストルーム」の構想だ。

[小寺信良,ITmedia]

 我々一般人から見たTVとIPの融合という動きは、一見ライブドア事件の陰で、方向性を見失ったかのように見える。一方、知的財産戦略推進事務局の「コンテンツ専門調査会 デジタルコンテンツ・ワーキンググループ」第4回では、ユーザー側から見れば「いわゆるテレビ放送とIPマルチキャスト放送との違いはわからない」という視点で、今後の議論が進められるようだ。

 要するに、テレビがネットを上手く活用して云々ということではなく、もう一緒でいいんじゃないの? というところに落ち着きつつあるように思える。だいたいIPオンチのテレビ局に任せていたら、いつまで経っても具体的かつ現実的な解など得られない。

 だったらパワーと頭が集まっているネット産業側主導でどんどん進めていったらどうだ、という考え方である。ただ現在は、ネット産業のあり方自体に不安材料が噴出しているような状況であるから、そうは言ってもなかなか抵抗が大きいことだろう。

 デジタルコンテンツ・ワーキンググループにしてもそうだが、現在のTV/IP融合論のベースは、インフラ論にこだわりすぎのように思える。つまり「放送 vs IP網」という話になっているのだ。もちろんこれは実態を正確に反映していることには違いなく、つまるところ、テレビのコンテンツを東西NTTがよこせっていう話を、法的になんとかしようということなのである。

 しかしそのレイヤーの下には、テレビ産業 vs PC産業という図式があることを忘れてはならない。この部分をしっかり認識しないから、コピーワンスの話で放送局側とJEITAの意見のかみ合わせがガタガタするのだ。

互いに旨味をすすり合うテレビとPC

 テレビとIPの融合、そしてその下位レイヤーであるテレビ産業とPC産業の融合が進むにつれて、これからそのアオリが直撃するのは、「PC用モニタ」だろうと思っている。

 もともとPC本体は、90年代後半にテレビチューナーを搭載して番組録画が可能になった時点で、テレビ産業を内包する方向性はすでに見えていた。そして今度はデジタル放送による高画素化を期に、テレビ産業がPCモニタ産業を取り込もうとするのではないかと予想する。

 過去のPCモニタとテレビモニタとは、同じ表示器という枠にありながら、ほとんど共通点がなかった。PCモニタは自由な解像度を持ち、より高精細化へと進む。一方テレビモニタは、大型化一辺倒でなく小型化のニーズもあり、解像度は640×480固定であった。

 しかし放送のデジタル化に伴うハイビジョンの普及で、テレビモニタは解像度は固定ではあるものの、1920×1080の高解像度を目指すようになった。この解像度は、高精細化を計ってきたPC用モニタの領域とかぶる。

 実際のところ、ソニーのBRAVIA Xシリーズでは1080Pの表示が可能だ。1080P、いわゆるD5端子が必要なビデオ機器は今のところ存在しないが、このプログレッシブ表示が可能というところが、PC用モニタとしての可能性を示唆している。同シリーズにはPC用入力端子としてアナログVGA端子しか付いていないが、これがDVI端子を装備するようになれば、話はかなり変わってくる。

 もともと液晶パネルなのだから、液晶テレビなどはどれも結局はプログレッシブ表示なのである。PC用モニタのデジタル入力端子を付けるのに、それほど難しい細工がいるとは思えない。要は各メーカーともに、そこが商売のネタになると思っていないだけなのである。

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