インタビュー
» 2006年04月12日 14時49分 UPDATE

インタビュー:「最初はタコ壷だった」――iPod用ひょうたんスピーカー (1/2)

異色のiPod用スピーカーとして人気なのが、バード電子の「iPod用ひょうたんスピーカー」だ。いったいどんな経緯で誕生した製品なのか、製造販売元であるバード電子に話を聞いた。

[平賀洋一,ITmedia]

 iPod用の周辺機器やアクセサリーは数多い。iPodそのものがポータブルオーディオ市場を賑わす存在だが、iPodによって生まれたiPod用製品の市場も実に賑やかだ。特にiPod用スピーカーには各社力を入れており、本家たるアップルからも先日「iPod Hi-Fi」が発売された。

 こうした中でかなり異色な存在なのが、バード電子の「iPod用ひょうたんスピーカー」。天然素材を使い、完全ハンドメイドによる希少性も手伝って、用意した販売数がすぐに品切れになるほどの人気だ。いったいどのような経緯で誕生した製品なのか、バード電子代表取締役の斉藤安則氏にお話をうかがった。

photo バード電子代表取締役の斉藤安則氏

はじめはタコ壷だった

――まず、ひょうたんをスピーカーにしようと思ったいきさつをお聞かせください。

斉藤氏: ひょうたんスピーカー自体は以前からありまして、新しいものではありません。1970年代に「長岡式スピーカー」など、スピーカーの自作が流行した時期がありまして、その頃にはもうあったと記憶しています。ただ、iPod用として製品化したのは弊社が最初になると思います。

――自社の製品として販売するには、かなり勇気が必要だったのではないでしょうか。

斉藤氏: 弊社では年に4〜5回「がらくた市」というのをやってまして、在庫になった製品とか試作品を販売しています。ただ、それだけじゃ面白くないので、いくつか「ネタ」を仕込むんですが、ある時タコ壷スピーカーを出品したらすぐ売り切れちゃったんです。これは広島に旅行に行ったときに見つけたイイダコ漁で使う壷を使ったもので、大きい湯飲みくらいの大きさです。これにスピーカーを接着剤で付けたものですが、結構好評でした。

 これはいけるなぁと思って、次の手を考え始めまた。茨城へ旅行したときにたまたま「ひょうたん美術館」という建物を見つけまして、iPod用のひょうたんスピーカーを思いついたんです。その時買ってきたもので試作品を作ったんですが、形は不ぞろいだし、加工に失敗したりで数が足りなくなって、実家の神棚にあったひょうたんを送ってもらったりしましたね。お袋が驚いてましたよ。

photo iPod用ひょうたんスピーカー

 こうして数個作っては「がらくた市」で売って、また集めて作っては売ってを繰り返しているうちにあちこちで話題になりまして、メディアに取り上げてもらうことが多くなりました。

――「iPod用」ということですが、どのような点がiPod向けになっているのでしょうか?

斉藤氏: 弊社のiPod用スピーカーシステム「EZISON」シリーズのノウハウを使っている点です。具体的にはiPodにあわせて開発した専用のスピーカーユニットを組み込みました。iPodの出力電圧に最適化させてますし、コーンのエッジを薄く、軽くしました。これによって電源がなくてもかなり大きな音で鳴るようになっています。ほかのポータブルオーディオで試したことがないのですが、iPodで聞くのが一番良い音になると思います。

 また、大きいひょうたんやステレオのものには、「EZISON」シリーズ用の専用アンプを組み込んでいます。スピーカーと同じ径の円形基盤にして、スピーカーと一体化させたものを使用してますので、ひょうたんのようにあまり設置面積がとれない場合に有効です。

photo 使用されるスピーカー。同社で開発されたiPod専用スピーカーだ

――製造と加工はすべて自社で行っているのですか?

斉藤氏: ひょうたんは種が抜かれて、乾いた状態で届きます。これにスピーカー用の穴を開けますが、最初のころは社内で手作業していました。ただ、精度がいまいちですし、時間もかかるので現在はパートナー企業にお願いしています。当社のノートPC用プロテクターを加工してもらっているところですが、本業は金属加工ですし、数もまちまちなので、暇な時にでも進めておいてくださいと頼んでます。加工済みのひょうたんにスピーカーを組み込んで、ハンダ付けをするのは我々です。夜、仕事が終わってから作ってます……あ、もちろんひょうたんスピーカー作るのも“仕事”ですよ。ええ。

photo 加工が終わって戻ってきたひょうたん達。個々に表情がある
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