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進化した正統派スタイリッシュコンパクト――「IXY DIGITAL 800 IS」の開発者に聞く永山昌克インタビュー連載(2/3 ページ)

» 2006年05月11日 20時28分 公開
[永山昌克,ITmedia]

デバイスを使いこなした上で製品化する

――昨年の「IXY DIGITAL 600/700」では1/1.8インチの有効710万画素CCDでしたが、今回のIXY DIGITAL 800 ISでは1/2.5インチの有効600万画素CCDになりました。高画素化への訴求は一段落したのでしょうか?

高木氏: 開発の最初に、CCDを1/1.8インチにするか1/2.5インチにするか決める必要がありました。その時点で1/2.5インチのCCDはすでに500万画素以上の高画素化の領域に入っていましたので、この製品ではボディサイズやISとのマッチングなど、トータルバランスを考えて1/2.5インチを選択しました。

信乃氏: IXY DIGITAL 800 IS は、IXY DIGITAL 700の後継機ではありません。1/1.8インチの最高画素数のモデルがIXY DIGITAL 700で、1/2.5インチの最高画素数のモデルがこのIXY DIGITAL 800 ISという位置づけです。

photo キヤノン総合デザインセンター コンシューマ商品デザイン部 室長の信乃亨氏

山崎氏: CCDのサイズを変えると、レンズや鏡胴のサイズも変わります。光学4倍ズームをこのボディサイズに収めるために、今回の製品では1/2.5インチを採用しました。

――他社では、スライディングレンズ方式や屈曲ズーム方式によって、レンズやボディの小型化を図っている製品がありますが、御社ではそういった技術は用いないのですか?

高木氏: 当社は常に「カメラは撮影するための道具である」ということを第一義に考えています。スライディングレンズ方式や屈曲ズーム方式は、薄型化のためのアイデアの一つですが、高画質を保つためには、安定した光軸を維持できるストレート沈胴方式が最適だと考えています。これを基本としながら、薄型化に対してはUAレンズの開発や最適なレンズ配置などを通じて実現しています。

――IXY DIGITAL 800 ISなど今春発売のコンパクトデジカメから、やっとISO800の高感度に対応しましたね。

板羽氏: 昨年あたりから高感度をアピールする他社の製品も増え、高感度に対する市場のニーズが大きくなっていることはもちろん把握していましたし、当社としても以前から高感度への取り組みは進めていました。DIGIC IIの処理が進化したことや、アルゴリズムを改善したことで、ようやく今回の製品で、感度を上げても、お客様に対して恥ずかしくない画質を実現できました。と同時に、ユーザーの利便性を考えて、通常ISOオートに加えて、最高でISO800まで自動アップする「高感度オート」機能を新搭載しました。

photo キヤノン DC事業部の板羽康徳氏

山崎氏: 高感度については、画質を問わなければ、単純に数字だけを上げることは難しくありません。しかし、高感度化によるノイズを防ぐ必要がありますし、かといってノイズを消すことで解像感が損なわれても駄目です。そのバランスが重要であり、そのどちらかを犠牲にするようなことは決してしていません。同じ感度の画質を比べた場合、常に他社よりは上のレベルを目指しています。

 感度だけでなく、かつては画素数に関しても、当社の製品は他社よりもやや出遅れている印象があったかもしれません。これは、新しく出たデバイスをすぐに製品に搭載して世に出すのではなく、そのデバイスをしっかりと使い込み、十分に使いこなした上で、製品化する必要があると考えているためです。

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