研究所が取り組んでいるジャンルはデジタル放送対応や画質の向上だけではない。なかなか目にする機会が少ないものの、より分かりやすく、楽しい映像を作るための基礎技術も日々進歩している。
展示されている「超高感度小型カラーカメラ」は、特殊な単板式カラーCCDを開発することで100万枚/秒という超高速撮影を可能にしたカメラ。超高感度撮影が可能なカメラとしては「HARP(High-gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductor)カメラ」が実用化されているが、展示のカメラはカラー映像が撮影可能で、スポーツ中継や科学技術番組のほか、レーザー治療を行う医療現場での利用も進められている。
見ない日が少ないほど定着したCGだが、実写映像との自然な合成には想像以上の手間がかかるという。「3次元形状検出カメラ」はハイビジョン映像の撮影と同時に被写体との距離も同時に検出することで、CGと実写映像との合成を容易に行えるカメラだ。
「カメラから近赤外線を照射し、その反射光を撮影することでカメラと被写体の距離を検出します。ブルーバックなしでの実写映像との合成も容易です」
ワードプロセッサなどで台本を書くだけで、自動的にCGキャラクターを使った番組を作るためのシステム「TV4U」も面白い。登場人物やその動きのほか、舞台やセリフなど番組に必要な情報をTVMLとよばれるマークアップランゲージで記述し、プレーヤーソフトで閲覧すれば番組が楽しめる(PC上で番組を製作し、閲覧するソフトはコチラで提供されている)。
TV4Uの基本システムは2004年に製作されたものだが、今回は記述したTVMLをサーバにアップロードすることで、ネットワークを利用した閲覧に対応した「テレビ版ブログ」システムが展示されている。閲覧はPCからのほか、携帯電話やiPodからでも可能だ。
そのほか、丸めることも可能な「フレシキブルフィルム液晶ディスプレイ」や、現在のB-CASなどよりきめ細やかなコンテンツのアクセス制御を行う「CAS(Conditional Access System:条件付きアクセス制御システム)」技術などの展示も行われている。
NHK放送技術研究所の一般公開は5月25日(木)から28日(日)まで。入場は無料だ。
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