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コラム
» 2006年08月21日 09時53分 公開

小寺信良:家電によるリモートモニタリングの未来 (1/3)

顧客サポートを考える上で、「リモートモニタリング」というやり方がある。ファームウェアのアップデートやバグの修正、あるいは製品のステータス監視といったケースで有効だ。今回はその可能性と、どう取り組むのがベターなのか考えてみた。

[小寺信良,ITmedia]

 以前このコラムで、デジタル放送対応テレビのファームウェアが壊れた話を書いたことがある。これがよほど面白かったのか、後日朝日新聞から取材を受けたりしたわけだが、いよいよ一般の方にもファームウェアなるものがあるよ、ということが認知されつつあるということなのかもしれない。

 ファームウェアのアップデートは、通信機能を持つ機器の場合は比較的楽だ。例えばPSPなどはオンラインでのファームウェアアップデート機能があらかじめ仕込まれており、過去何回かアップデートが行なわれている。

 2003年の話になるが、Panasonicのデジカメ「DMC-FZ1」をFZ2相当にするというファームウェアが6000円で発売されたことがある。当時からデジカメのファームウェアがアップデートされることは少なくなかったが、後継機とほぼ同じになるというファームウェアを希望者にのみ有償で販売するという戦略は、当時としては画期的であった。

 筆者も当時、Web原稿用の写真をFZ1で撮影していたこともあって、このファームウェアを購入した。絞り優先やシャッター優先などのAEが追加され、非常に使いやすくなって感激した記憶がある。

ファームで直せばコスト削減?

 AV機器というのは、今も昔もそれほど安い買い物ではない。だから、これだと思って購入したものが、後継機で大幅に機能アップ、微妙に価格ダウンすると、なんだか悔しい気持ちになる。それまでは満足して使っていた製品なのに、目に見えない「型落ち」のレッテルが張られてしまい、急に魅力を感じなくなる。知り合いから新モデルの話を聞かされそうになると、耳をふさいで「あーあーきこえなーい、きこえないなー」と大声を出したくなる。

 肝の据わった人はとっとと売っ払って新モデルに買い直したりもするのだろうが、売る手間を考えたらなんとなく気後れしてしまうという人のほうが、多いのではないか。ハードウェアとしての進化点は仕方がないが、ちょっとした仕様変更で不便が解消されたり、既存機能の組み合わせで新モードが追加されたりして、ほぼ後継機並みの機能が実現できるのであれば、ファームウェアにお金を払ってもいいと考えるユーザーはいるだろう。

 一方でこれまでの電気製品のように、完全に問題ない状態でリリースするのが難しいだろうと思われるものも登場して来ている。

 その最たるものは、デジタルビデオレコーダーだろう。単にHDDに録画するだけならともかく、複数のDVDメディアに対応し、ダビングやムーブの過程で部分削除やプレイリスト作成などの編集機能が入る。どのような機能をどのような順序で使うかはユーザー次第ということもあって、事前にすべてのバグを絞り出すのは大変な作業だ。広く市販されている家電の中では、もっとも複雑なファームウェアを持つものに属するだろう。

 明らかに挙動がおかしかったり、仕様に合わない動作をするような場合は、早急に修理してもらいたいと思うのは、消費者として当然だ。これまでは電気店に持ち込み修理を依頼するか、サービスマンとスケジュールをすり合わせて訪問修理に来てもらうかしか仕方がなかったものが、デジタル放送やネットワーク経由で問題が解決するようになる。

 もちろんできる限りバグのない状態で出荷できるようにしてもらうことが大前提であるものの、複雑化するAV機器においてこのような方法でユーザーサポートができるというのは、ユーザーにとっては時間や手間の節約になり、メーカーとしてはサービス・サポート費用の大幅な圧縮になる。

 以前使っていた某国内メーカーのDVDプレーヤーで、ドライブのトレーが出てこなくなることがあった。メーカーの修理センターに連絡すると翌日サービスマンが修理に来たが、何か診断プログラムでも走らせるのかと思ったら、オモムロに電源を抜き差ししたり中を開けたりしたのち、「あー故障ですねー」で新品交換になって拍子抜けしたことがある。

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