三菱電機は8月22日、1080P対応で実売価格で45万円前後の液晶プロジェクター「LVP-HC5000」を発表した。セイコーエプソンが開発した新しい液晶パネル「C2FINE」(クリスタルクリアファイン)を採用。吸排気機構の見直しなどにより、通常使用時19dBの静音性を実現した。
また同時に「LVP-HC3000」の後継となる「LVP-HC3100」、および720Pエントリーモデル「LVP-HC1100」をリリース。8月25日から順次発売する予定だ。概要と実勢価格は下記の通り。
型番 | 解像度 | コントラスト比 | 実売価格(※1) | 発売日 |
---|---|---|---|---|
LVP-HC5000 | 1920×1080 | 10000:1 | 45万円前後 | 10月12日 |
LVP-HC3100 | 1280×768 | 4500:1 | 24万円前後 | 9月8日 |
LVP-HC1100 | 1280×720 | 3000:1 | 18万円前後 | 8月25日 |
C2FINEは、高温ポリシリコンTFT液晶パネル(HTPS)の配向膜(配向膜:液晶を挟み込むガラスなど基板の表面上に形成する膜)に無機材料を採用する技術。従来の有機材料に比べて3〜4倍の長寿命で、また電圧をかけていない状態で液晶分子がガラス基板に対して垂直に並ぶ“ノーマリーブラック”は、黒の再現性やコントラストの向上、配向ムラの低減といったメリットがある。
静音性は液晶パネルの冷却ダクト形状を再検討したことにくわえ、モーターの小型化や大型シロッコファンの採用などにより実現した。同社では「試作機の実測値では17dB程度であり、19dBは確実に実現できるはず。従来機は26〜30dBなので、単純に3分の1から4分の1になった」としている。「19dBというと、“一般的に柱時計の秒針の音を1メートル離れて聞く”レベル。視聴中はエアコンの音のほうが大きいかもしれない」と自信を見せている。
一方、光学系は低価格化のために小型化しつつも、ED(超低分散)ガラスレンズを含む14群17枚構成として周辺フォーカスと周辺の色ズレ(色収差)を低減した。1.6倍の電動ズーム/フォーカスおよび上下75%、左右5%のレンズシフトに対応する。100インチ投影時の最短焦点距離は3.1メートル。「6畳間で100インチを実現するのが当初からの目標だった」(同社)。
I/P変換およびスケーリングには、シリコンオプティクス製の専用IC「Reon-VX」を採用した。フィルム/ビデオ素材の自動検出や2-3プルダウンへの対応はもちろん、HVQ(ハリウッド・クオリティビデオ)ノイズリダクションにより、DVDなどSD映像の高画質化を図っている。
オートアイリスは、従来の輝度情報にくわえて色情報を検出して自動制御する独自アルゴリズムを採用。また光源ランプは温度制御の最適かと点灯タイミングの調整により、5000時間の長寿命を実現。さらにランプ交換時には、本体側面を開けて作業が行える。
本体の外形寸法は、334(幅)×125(高さ)×352(奥行き)ミリ。重量は5.6キロ。入力端子として、HDMI、HDCP対応のDVI、コンポーネント、S端子、コンポジット、D-Sub15ピンをそれぞれ1系統備えている。
三菱電機京都製作所の重里英夫所長は、2006年は1080PのフルHD対応プロジェクターが全体の10%程度(構成比)に達すると予想し、50万円以下のフルHD対応機を投入することで、「フルHDの低価格化を待っていたユーザーの買い替え促進」につなげる考えを示した。また現在は国内、ワールドワイドともに6%程度の市場シェアを、新ラインアップの投入により10%まで引き上げたいと話している。
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