日立マクセルは8月31日、デジタル音源の高音質化技術「Bit-Revolution Technology」を開発、同技術を実装した製品群“VRAISON”(ヴレソン)をシリーズ化し、11月より市場へ投入すると発表した。
この技術は同社と九州工業大学の佐藤寧教授が共同で開発したもの。CDやMP3などがサンプリングや圧縮の際に失ってしまう高音域を補完する「高域補完」、利用者の聴覚特性を分析して補正する「聴覚感度補正」、16ビット信号を24ビット信号へ拡張して分解能を向上させる「スムージング」などで構成されている。
高音域を補完することで音質を向上させる技術は、東芝の「H2C」やケンウッドの「Supreme」などが存在しており、各社ともに既に製品へ実装している。しかし、新技術は入力信号の周波数を倍増させることで、40KHz以上の超高音域を補完することが可能なっており、結果、MP3など圧縮音源の音質をDVD-Audio相当まで向上させるという。
これまでの高音質化技術では補完できる範囲に上限があったために効果のあるソースは圧縮音源に限られていたが、新技術では楽器の高調波発生メカニズムに基づく高域補完を行い、より高音域までも補完することが可能なため、オーディオCDや、DVDビデオに収録されている音源などにも対しても効果が期待できる。
聴覚感度補正は利用者へ何種類かの信号音を聞いてもらい、可聴範囲を測定した上で適切な補正レベルを探し出す。加齢などで聴覚の弱くなったユーザーでも(ヒトの聴覚は、早ければ30代から加齢によって弱くなっていく)、原音に近い聴感を得ることが可能となる。「スムージング」はいわゆるビット拡張で、量子化予測補完によって16ビットの音楽信号を24ビットに補完し、音質を高める技術だ。
同社ではこれら技術を投入した第1弾製品として、「VRAISON」ブランドを冠したPC用ヘッドフォンを11月に投入する。処理回路を収めたUSBユニットとWindows対応のソフト、ヘッドフォン本体で構成され、24ビット/44KHzまで補完する上位機種と、16ビット/22KHzまで補完する標準機種が用意される。高付加価値製品として位置づけられており、価格は未定だが「2万〜3万円程度」(同社)になる見込み。
ユニットの小型化(ワンチップ化)も進められており、2007年春以降にはこの技術を実装したAV用ヘッドフォン(ノイズキャンセリング機能とバーチャルサラウンド機能も搭載する予定)と携帯電話用ヘッドフォン、スピーカーシステムが製品化される。
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