インタビュー
» 2007年03月16日 08時54分 UPDATE

インタビュー:「やれることはやり尽くした」――動画対応の新ウォークマン(後編) (1/2)

前回に引き続き、動画対応の新ウォークマンについて話を聞く。新製品は「ウォークマンのトップモデル」として音質面でも高域補完技術の実装など、大幅な改良が施されている。

[渡邊宏,ITmedia]

 「動画対応」という新機軸を搭載したウォークマン「NW-A800」シリーズ。前回は携帯プレーヤ市場に対する同社の見解、新製品のコンセプトについて話を聞いたが、今回はそのコンセプトを実現するために導入された技術について、引き続き同社オーディオ事業本部 統合商品企画MK部門 コネクト商品企画MK部 企画1課の木野内敬氏と、同オーディオ事業本部 コネクト事業部の細萱則文氏から話を聞く。

photo 豊富なアクセサリー群を前にする、同社オーディオ事業本部 統合商品企画MK部門 コネクト商品企画MK部 企画1課の木野内敬氏(右)と、同オーディオ事業本部 コネクト事業部の細萱則文氏(左)

――まず驚いたのが、最長8時間という動画の連続再生時間です。搭載できるバッテリーのサイズも限られる小さなボディ(幅43.8×高さ88×奥行き9.1ミリ/最薄部8.3ミリ)でどのようにしてこれだけのスタミナ性能を実現したのでしょう。

細萱氏: 電力消費を考えるとき、最も大きな要素は液晶とそのバックライトです。そこについては部材レベルで性能が決まってしまうので設計側で手を加えることは難しいのですが、低消費電力のデコーターを搭載したのは大きく貢献したと思います。それでも、どれだけの容量を持つバッテリーを搭載するかは悩みました。

 新製品はあくまでもウォークマン――マスを狙う製品――ですので、あまり高価なチップを使えないという制約もありました。H.264/768kbps/30fpsの動画再生を譲れないラインとしてとらえ、CPUなどの選定を行うという苦労もありました。

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――音質に関する回路を新設計したと聞きましたが、具体的にはどのような効果を狙って新設計したのでしょう。また、搭載されている高音質技術Clear Audio Technology(ステレオのLRを分離する「Clear stereo」、ゆがみを少なく低音をブーストする「Clear Bass」、13.5ミリの大口径ヘッドフォンの総称)はNW-S600/700と同様のものと考えていいのでしょうか。

細萱氏: 音質回路はNW-S600/700と完全に違う、新設計の回路です。設計に際して一番念頭においたのは内部のノイズを抑制することです。あわせて、周波数特性もよりフラットになるよう設計されています。

木野内氏: Clear stereoについては、新たに延長コードを利用する/しないにあわせた設定が施せるようになりましたので、より快適に聴けるはずです。それ以外の要素は基本的には同様ですが、新設計回路にあわせてブラッシュアップされています。全体的な底上げが行われていると考えてもらって構いません。

――音質については、新たに圧縮音源にする高域補完技術「DSEE」(Digital Sound Enhancement Engine)が実装されました。以前のインタビューではNW-S600/700の担当の方が「補正技術を実装する前にやれることはたくさんある」と発言していましたが、搭載されたということは、“やれること”ができたということでしょうか。

木野内氏: 確かにこの製品について、やれることはやり尽くしたという感がありますね。

 DSEE搭載の理由を技術的な側面から話せば、より高性能なDSPチップを搭載したので、DSEEを搭載できるようになったのです。NW-S600/700はスタミナ性能と高音質再生に特化したチップセットを使用していたので、DSEEの実装が困難だったのです。

細萱氏: 補足すると、新製品は動画再生を可能にする強力なDSPチップの搭載がすべての前提だったので、動画を再生しないときにはDSPに余裕ができるんです。そのパワーを割り振ることで、音楽再生時にDSEEを利用することが可能になったのです。

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