連載
» 2007年11月12日 08時30分 UPDATE

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:CEATECで見つけた3つの次世代トレンド (1/5)

20万人以上の来場者を迎え、今年も盛り上がった国内最大級の情報通信・エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN」。今回の「デジタル閻魔帳」は、麻倉怜士氏にCEATECを通じて見つけた次世代のトレンドを語ってもらった。

[渡邊宏,ITmedia]

 20万人を越える来場者を迎え、今年も多いににぎわった国内最大級の情報通信・エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN」。Blu-ray Discレコーダーの充実や液晶テレビのさらなる薄型化、ついに姿を表した有機ELテレビなど、今年も見どころの多い展示会だったと言える。

 会期中も各種の講演やトークセッションを精力的にこなしたデジタルメディア評論家の麻倉怜士氏にとって、今回のCEATECはどのように映ったのだろうか。月イチ連載『麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」』。今回は「CEATECで見つけた3つの次世代トレンド」というテーマで語ってもらった。

――今年もまた多いににぎわいましたね。まずは今回の全体的な傾向を教えてください。

麻倉氏: 総入場者が初めて20万人を越えたのは大きなトピックでしょう。特に最後の2日間(10月5日金曜日と6日土曜日)に多くの来場者があったことが印象的です。例年は会社員の直行直帰組が来場する金曜日が人数的なヤマとなるのですが、今回は土曜の来場者も多くありました。

 土曜の来場者が多いと言うことは、一般ユーザーの来場者が増えているということで、Blu-ray Discや薄型テレビの最新動向を身近な話題としてとらえている証しではないでしょうか。私の講演も平日は3重の人波でしたが、土曜は6重の人波でしたしね(笑)

photophoto 日立ブースで講演を行う麻倉氏。平日でもごらんの人出

 最近はその傾向に変化が見え始めてきましたが、International CESをはじめとするアメリカの展示会の多くはトレードショーです。対してCEATECは以前よりトレンドショーで、今回はその傾向がさらに強くなってきたように思います。

 これからのデジタルAV機器のトレンドを雄弁に指し示すというミッションはさらに強化されており、これまで「最新技術」と言われていたものが、より身近に感じられるショーになったと言えるでしょう。そして、今回のトレンドは3つに集約できると思います。

新時代の到来を告げる有機EL

――それでは、「3つのトレンド」についてお願いします。

麻倉氏: なんといっても、有機ELテレビの登場を挙げない訳にはいかないでしょう。有機ELディスプレイそのものは第1回のCEATEC(CEATEC JAPAN 2000)にも展示されており、近いうちにブームが起こると思ったものですが、7年の時間をかけてようやく「XEL-1」として製品化された姿を見ることができました。

photo

 そのXEL-1は非常に革命的です。さまざまな革新的な要素を持ちますが、ひとつはカタチの革命です。ブラウン管から液晶/プラズマとテレビの薄型化は進んできましたが、置き場所の変化を起こすまでには至っていません。従来のテレビの延長にしか過ぎなかったのです。しかし、ここまで薄くなるならば、置き方や見せ方の変化はもちろん、インテリアとの融合も可能になります。これまでのテレビでは実現不可能だったスタイルを実現できる可能性を示していると言えます。

 次はデザイン面の革命です。XEL-1は空中に浮遊しているような、近代的で極めてソニー的なデザインです。ただ、これはまだ有機ELパネルを製品というカタチとした第1歩に過ぎず、今後どのように進化・変化していくかは想像もつかないほどです。11V型をパネルを壁一面に敷き詰めたり、カーナビなどモバイル向けにも利用できるでしょう。

 「折り曲げテレビ」や未使用時には丸めて保管する「ポスターテレビ」も実現に近づいたと言えますね。それに、構造上、直線や平面である必要もないので、“ゆらぎ”のカタチのテレビなども実現できるでしょう。液晶やプラズマも今後さらに薄くなるかもしれませんが、柔軟性やフレキシブル性を持たせるのは困難なはずです。自発光デバイスなので、視野角の問題がないのもアドバンデージですね。

 いま自発光の話が出ましたが、自発光のメリットを見直すことに繋がるのも見逃せません。有機ELの凄さは、自発光であることに大きく起因しているからです。液晶は構造上どうしてもバックライトが必要なので視野角の問題から逃れられませんし、コントラストを確保しにくいという問題もあります。

 有機ELの凄さとしてはまず、100万対1のコントラストが挙げられますが、数字に表せない絵的な凄みもまた、自発光という構造からもたらされているのです。コントラストだけならば、液晶でもシャープのメガコントラスト液晶のように二重パネルなどの手段で高めることができるので、100万:1という数値自体はさほど驚くべきことではありません。発光原理に起因する、黒の沈み・再現性が有機ELの本当の凄さなのです。

 XEL-1の画素数は約50万画素(解像度は960×540ピクセル)で、これはフルHDのちょうど4分の1です。画素数としては少ないですが、精細感もあって造形力が高く、繊細な映像を作り出しています。これこそが、高コントラストが演出する有機ELのパワーです。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.