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“RD”の存在意義を再確認できるレコーダー、東芝「RD-S502」(4/6 ページ)

» 2008年07月11日 14時15分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

柔軟な設定も魅力のMPEG-4/AVC記録

 HD DVDレコーダーの「RD-A301」から採用され、DVDレコーダーでは初搭載となったのがMPEG-4/AVC記録だ。RDシリーズではエンコードではなくトランスコードと位置づけており、デジタル放送をフルHD解像度のまま3.6M〜17.2MbpsのMPEG-4/AVC(H.264)に変換、HDDやDVDに保存できる。RD-A301の発売当初はダビング時のみMPEG-4/AVCへの変換が可能で、MPEG-4/AVCによる直接録画はアップデート対応となったが、本機では録画、ダビングともにMPEG-4/AVCの利用が可能になっている。

 MPEG4/AVC記録は既に市場のトレンドになりつつあるが、本機の魅力はやはり設定が柔軟なことだ。パナソニック「DIGA」シリーズのように「HG」「HX」「HE」といった分かりやすい設定になっていないあたりは好き嫌いが分かれると思うが、3.6M〜17Mbpsの間で47段階ものビットレートが選択可能で、DVDメディア1枚に何分保存できるかを確認しながらビットレートを選択できる。MPEG-4/AVC記録はTSEモードと呼び、SD解像度のVRモードと混在で5つの設定を保存しておけるが、これとは別に録画単位でビットレートの設定も行える。この点は従来のRDの美点がそのまま生きている。

photo MPEG-4/AVC変換では、細かくビットレートの選択が可能。DVDメディアに保存可能な目安時間も画面で確認できる。録画予約時なら録画予定時間も一緒に表示されるなど、かゆいところに手が届く仕様だ

 ダビング10対応の本機では、MPEG-4/AVC記録の設定が柔軟な点は非常に魅力的だ。例えば、「おまかせチャプター」を使ってTSモードで録画し、本編のみのプレイリストをワンタッチで作成。プレイリスト再生時間を確認してからDVD1枚にぴったり収まる上限のビットレートでMPEG-4/AVCに変換してダビングするといったことも“本機の機能を知っていれば容易”だ。結果的に画質に不満が生じたら、DVD-RからDVD-R DLへのダビングに切り替えたり、DVD2枚に分割といったことも、ダビング10に対応しているからこそ許容される。またHDD内ダビングも可能で、いちいちDVDメディアに“試し焼き”をしなくても済む。

 では、そのMPEG-4/AVC記録での画質はどうだろう。DVDメディアへ保存することを想定し、リーズナブルな1層DVD-Rに1時間、1時間半、2時間に保存可能な8.6M/5.6M/4Mbpsの3つのビットレートを検証用に選択した。画面でのビットレート選択時の目安とズレがあるが、これは目安が音声2ストリームの場合を想定しているからだ。

 もちろん、もっと高いビットレートを無視している訳ではないが、概ね10Mbpsを超えるようなビットレートでは動画として見る限り解像度の劣化や映像としての破たんは目立たない。現時点では、MPEG-4/AVC記録の番組はi.LINKやLANを使ってRD間転送ができないため、結局はDVDへダビングが前提になると判断した。

 また事前にお断りしておくと、マニュアルなどではハイビジョン放送を録画する際は6Mbps以上での利用を推奨しているため、今回の評価基準はかなり厳しい。ただし、ハイビジョン6倍録画を1つの宣伝文句にしている以上、その点に期待して購入する人だっているはずだ。ちなみにBSハイビジョンで音声1ストリームのとき、6倍録画に相当するのが4Mbpsということになる。

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