インタビュー
» 2008年08月26日 12時35分 UPDATE

HDMIの“切替”を速くする「InstaPort」とは? (1/2)

BDレコーダーにゲーム機、STBにプレーヤー……テレビのHDMI端子に接続する機器は増えるばかり。しかし、HDMIソース機器を切り替えるときは意外と時間がかかってしまう。そんなウィークポイントを解消する技術がもうすぐ登場する。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 BDレコーダーにゲーム機、STBにプレーヤー……テレビのHDMI端子に接続する機器は増えるばかり。ハイビジョン映像と音声を1本のケーブルで接続できるHDMIは使い勝手も良く、既にわれわれのAVライフになくてはならないものになった。

 しかし便利なHDMIも“入力切替の遅さ”というウィークポイントを抱えている。例えばレコーダーからゲーム機といった具合にソース機器を切り替えるとき、ボタンを押せばすぐに映像が切り替わったアナログ時代と異なり、HDMI接続ではリモコンのボタンを押してから映像が表示されるまで数秒間は暗い画面を見ていなければならない。中には6〜7秒かかるケースもあるという。

photo シリコン イメージ ジャパンの竹原茂昭社長。米Silicon Imageは「7C」と呼ばれるHDMIファウンダーメンバーの1社であり、HDMIのライセンスを行うHDMI Licensing,LLCや相互接続検証を行うSimplay Labs,LLCの親会社

 米Silicon Imageが発表した「InstaPort」(インスタポート)は、なかなか早くならないHDMI機器の切替を1秒程度にまで短縮するという技術だ。しかもテレビやAVアンプなど、映像信号を受け取る側の機器にさえ導入されていれば、ソース機器は選ばない。その仕組みと今後の予定について、シリコン イメージ ジャパンの竹原茂昭社長に話を聞いた。

――そもそも、なぜHDMI機器の切替には時間がかかるのか、教えてください。

 HDMIでは著作権保護技術としてHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)を採用しています。テレビの入力を切り替えるとソース機器とテレビとの間でHDCPの認証が行われますが、ここに時間がかかります。

 まず最初にソース側がテレビに接続されたことをHPD(Hot Plug Detect Pin}で認識し、EDID(Extended Display Identification Data)のやり取りを行います。その後、ソース機器は出力する解像度を決定し、HDCPの認証作業であるKSV(key Selection Vector)のやり取りなどを行うことで初期の認証作業が完了。テレビのSoC(System on Chip)が映像をディテクト(解析)して、画面に映像が出るという手順になります。このうち、とくに時間がかかるのは、HDCP認証とSoCが映像を解析するステップです。

photo HDMI機器間で行われるHDCP認証の仕組み。各機器の公開鍵をKSV(Key Selection Vector)情報のやり取りによって確認する

 その後もソース機器とテレビの間では、Riと呼ばれる鍵の照合が約2秒ごとに行われています。互いの身元を確認することでデータの安全性を確保するわけですが、現在のテレビは選択されていないポートは認証作業が通らないために、ポートが選択されるまでソース機器は常に初期認証を繰り返す必要があります。

――InstaPortを導入すると、どう変わるのですか?

 InstaPortを導入したテレビでは、「テレビの電源を立ち上げる」あるいは「ソース機器を接続する」のどちらかを行った時点で各(HDMIの)ポートに対してバックグラウンド・オーセンティケーション(事前の認証作業)を行うことができます。ソース機器はテレビで選択されたポートだけではなく、ほかのポートでも認証作業を行い、Riの照合を継続します。

 バックグラウンド・オーセンティケーションが行われていれば、テレビの入力をどのポートに切り替えても、すべて“認証済み”の状態ですから、そのステップを省くことができます。これがHDMIの切替が速くなる仕組みです。

 後は映像のディテクトにかかる時間が問題ですが、これはテレビのSoCのパフォーマンス次第。テレビメーカーの力の入れ方によっては、さらに速くポートを切り替えることもできるでしょう。

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