いま手に入る“高音質CD”「SHM-CD」を聞き比べる(1/2 ページ)
今、「SHM-CD」がちょっとしたブームになっていることはご存じだろうか。音楽好きであれば認知度の高いアイテムだが、一般的にはそれほど知られていないようなので、改めてその内容を紹介しよう。
SHM-CDとは、昨年ユニバーサル ミュージックからリリースされた新しい“高音質”CD。こういう書き方をすると「DVDオーディオやSACDのような新規格がまた出たの!?」と思うかもしれないが、それとはまったく違う。SHM-CDはあくまでもCD規格のディスクであり、その名の通りSHM(スーパー・ハイ・マテリアル)を利用して高音質を実現した“CDとして”の究極のカタチのひとつなのだ。
では、一般的なCDとどこが違うのだろう。それはズバリ、盤に使用しているポリカーボネート樹脂の質である。CDは、1.2ミリほどの厚みを持つポリカーボネート樹脂の円盤に、スタンパーと呼ばれる金型でビット情報を成形。そのあと反射膜と保護膜、レーベル面を塗布して完成に至る“光ディスク”だが、「光を当ててその反射を読み取る」というシステムは、非接触で劣化がゼロという大きなメリットがある代わりに、少なからずデータエラーを起こしてしまうマイナスポイントがある。
実際のところ、CDにはデータエラーを補完するシステムが採用しており、よほど大きな傷や振動がない限り“音とび”しないため、頻繁にデータエラーが起こっていることにはまず気がつかない。知らぬ間に、劣化した音を聴かされているのだ。
そういった情報の欠落をできるかぎり回避する1つの手段として考え出されたのが、このSHM-CDである。ポリカーボネート樹脂を、これまでのものから液晶モニターに使われている透明度の高いタイプに変更することで、読み出し時のデータエラーを低減。同時にスタンプの精度向上や量産効率よりも品質を優先させた専用生産ラインの新設なども行い、オリジナル音源に忠実な、高音質サウンドを実現したのだ。
実際にその効果は驚くべきものだ。発表当初、リリースを読んだだけの僕は、「ポリカーボネート樹脂の透明度を上げたくらいでそれほど音が変わるものか」とたかをくくっていたが、実際の音を聴いたとたんがくぜんとした。まるで同じ演奏を別の良質な機材で録音しているかのような、クリアかつ緻密な音が聞こえてきたのだ。
この衝撃は、SACDの音を最初に体験したときのよう。いつものディスクが、これまで聴いたことのないくらい生々しいリアルなサウンドを奏でてくれたのだ。しかもそれが、普通のCDプレーヤーで楽しめる。なんという手軽さと優れたパフォーマンスだろう。
以来僕はSHM-CDに夢中となり、数年ぶり、いや10数年ぶりに大量のCDを買いあさっている。僕以外の音楽ファンもかなりの人が同じようなインパクトを受けたようで、限定発売されたタイトルの多くが完売。なかでも“名盤”と呼ばれるいくつかのタイトルはプレミア価格が付くほどの人気を博している。
そしてこの夏、SHM-CDは100タイトルを超え、さらにユニバーサル ミュージック以外のレーベル、ワーナーやテイチクからも(冬にはJVCからも)リリースされることとなった。いまやSHM-CDは、CDに代わる新しいスタンダードとなり得る可能性すらある。なぜなら、どうせお金を出すのだったら、少しでもいい音で楽しみたいというのは音楽ファンの正直な心理。しかも価格は2500~2800円が主流で、いままでとそう変わらないのだから、歓迎しない方がおかしい。
とまあ、SHM-CDの特徴と個人的な感想をここまで述べてきたが、百聞は一見にしかず。いやこの場合は一聴にしかず、というべきか。SHM-CD未体験の人にちょうど良い“聞き比べ”ディスクが登場したので紹介しよう。
9月3日にユニバーサル ミュージックから発売された「これがSHM-CDだ!」は、SHM-CDと通常のCDが1パッケージに収められた、まさにSHM-CD体験を目的としたアルバム。両ディスクを聞き比べることで、SHM-CDの優位性が実際に体感できるようになっている。
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