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月額682.5円でCATVからの乗り換えを狙うフレッツ・テレビテレビに光をさす(1/2 ページ)

» 2009年09月02日 19時25分 公開
[上島康夫,ITmedia]

 地上デジタル放送への完全移行まで残り2年を切り、エコポイントの追い風も受けて地デジ対応テレビの販売は絶好調である。一般的には地デジ対応のテレビを用意し、UHFアンテナを使って放送を受信するわけだが、「フレッツ・テレビ」のようにアンテナを使わない受信方法もある。

 フレッツ・テレビはアンテナの代わりにインターネット回線のフレッツ光を使ってテレビ放送を送信するため、山間部や高層ビル街など、電波状態の悪い地域でも安定して受信できるメリットがある。サービス提供地域はまだ首都圏の一部などに限られるが、地デジ対策のついでにインターネット回線を光にアップグレードし、さらに受信障害も解消できるなど、メリットは少なくない。

 しかし、すんなりフレッツ・テレビが普及するといい切れない事情もある。立ちはだかるのはCATVだ。筆者のように電波障害地域に住んでいる多くの家庭は、ほかに選択の余地はないので、すでにCATVと契約しているはずだ。後発のフレッツ・テレビがいくら受信障害が起こらないと宣伝しても、CATVユーザーにはあまり効果がないだろう。一方、アンテナで十分電波を受信できている住宅や共同アンテナから配信されるマンションでは、地デジ対策といってもアンテナを調整すればいいわけだから、わざわざフレッツ・テレビに月額料金を払う理由は見当たらない。

 筆者は現在の住宅に引っ越した当初からJCN系のCATVと契約しており、地デジ・BS・CSを視聴できていたから地デジ対策など他人事と考えていた。ところが今春放送されたフレッツ・テレビのテレビCMをきっかけに、CATVからフレッツ・テレビへ乗り換えることにした。その理由を説明する前に、まずフレッツ・テレビの概要を整理しておこう。

 フレッツ・テレビはスカイパーフェクト・コミュニケーションズの子会社オプティキャストが提供する「スカパー!光」の放送をNTT東西の「フレッツ光」を使って家庭に届けるサービスで、2008年7月1日より開始された。波長の違う複数の信号を送信しても互いに干渉しない光ファイバーの性質を利用した光波長多重技術と呼ばれる伝送方式を採用し、インターネットのIP通信に加え、地上波/BSのアナログおよびデジタル放送、FMラジオを視聴できるようにしている。

photo ひかりカエサル

 やはりフレッツ光を使った映像配信サービスの「ひかりTV」はIP通信で映像データを配信するため、視聴するには専用のひかりTVチューナーをレンタルするか、ひかりTVチューナー対応のテレビを用意する必要があるのに対し、フレッツ・テレビはアンテナ経由のテレビ電波と同じRF方式なので、テレビ内蔵チューナーで視聴できる(ただし「スカパー!CSデジタルサービス」のみテレビ1台ごとに専用チューナーが必要)。

 さて、CATVからフレッツ・テレビへ乗り換えるメリットは何かということだが、実は放送サービスの内容そのものにこれといった違いはない。どちらも地デジとBSデジタル、さらにCS専門チャンネル放送を視聴できる。筆者が注目したのは料金体系だ。フレッツ・テレビは地上波・BS・FMラジオのみの「スカパー!光 ライト」が月額682.5円(税込み)。有料CS専門チャンネルの「スカパー!e2」「スカパー!CSデジタルサービス」はオプションで選べるようになっている。これに対してJCN系のCATVではベーシックなコースでも地デジとBSデジタル、さらにCS専門チャンネルがセットになって月額3990円(税込み)。CS専門チャンネルをオプションとして切り離し、最低価格を大幅に下げたフレッツ・テレビ陣営は、CATVユーザーの切り崩しを狙っていようだ。

 何十もの専門チャンネルをセットにしてお得感を出す従来型のサービスより、観たいときに観たい番組を購入するビデオオンデマンド(VOD)にユーザーの関心は移りつつある。現時点でのVODはまだコンテンツ数が限られているが、この分野は将来伸びていくだろう。CS専門チャンネルをあまり観ない家庭では、アクトビラ対応のテレビかレコーダーを用意して来るべきVOD時代に備えておけば十分という判断も働くはずだ。さらに、この厳しい経済状況の中、フレッツ・テレビに乗り換えて月額料金を3000円余り節約できるのも結構なインパクトがある。そんなわけで、筆者はフレッツ・テレビの申し込みをしたのである。

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