インタビュー
» 2009年09月20日 09時10分 UPDATE

目指したのは“究極” 地上を走る「戦艦大和」開発秘話 (1/3)

タカラトミーの「技MIX 地上航行シリーズ 戦艦大和」は、地上を航行するという奇抜なアイデアにくわえ、こだわりの造形とギミックが詰まった大人が楽しめるスケールモデルだ。発売を前に開発担当者に詳しい話を聞いた。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 “絶対に沈まない戦艦大和”こと、タカラトミーの「技MIX 地上航行シリーズ 戦艦大和」が9月30日に発売される。地上を航行するという意表を突くアイデアで注目を集め、最新の考証に基づく造形とこだわりのギミックで見る人を驚かせた“究極ノ戦艦大和”だ。製品の企画・開発を担当したタカラトミーホビー開発チームの天野幹俊氏をたずね、詳しい話を聞いた。

photophoto 「技MIX 地上航行シリーズ 戦艦大和」。タカラトミー新規事業本部ホビー開発チームエキスパートの天野幹俊氏

 天野氏は、R/C飛行船「SKYSHIP」やオートバイ「チョロバイRC」を手がけた大人向け玩具開発のエキスパート。最近5年間は主に食玩を担当し、「TMW(タカラマイクロワールド)」シリーズの「世界の艦船」などスケールモデル食玩を展開してきたという。今回の技MIX 地上航行シリーズは、これまでの経験と実績を生かした新商品といえそうだ。

——まず、このユニークな商品を企画したきっかけを教えてください。

 この商品のメインターゲットは、子どものころにプラモデルを楽しんだ人たちです。今ではおおむね40代になりますが、この年代の男性たちは、多かれ少なかれ艦船模型を作った共通体験があると思います。

 大人になるにつれ、だんだんプラモデルは作らなくなってしまうものですが、子どものころにプラモデルを作った楽しい思い出は、心の中にずっと残っているでしょう。そうした人たちにもう1度、手にとってもらえるプラモデルを作りたいと考えました。これが企画の出発点です。

 40歳を過ぎれば、仕事に忙しく、子どももいることでしょう。時間に追われ、プラモデルなどなかなか作れません。プラモデルをきれいに仕上げようとすれば塗装が必要で、コンプレッサーやエアブラシなどインフラにもお金がかかります。

 そこで、プラモデルの製作工程の中でも最もハードルの高い塗装(基本塗装)を済ませた「彩色済み組み立てキット」にすることにしました。道具を買う必要がなくなり、完成度が落ちることもない。ハードルを大きく下げ、普段は忙しい方々にも楽しんでもらえると思います。

——では、地上を航行するというアイデアは?

 昔は、製作した艦船模型を近所の川や池にもっていき、なくしてしまうことも多かったでしょう。それに、実際に模型を浮かべてみても、水はスケールダウンできないので、明らかに「小さな船を浮かべている」と見て取れてしまい、がっかりしてしまうものです。それなら、スケールダウンした“海面に見えるもの”(樹脂海面)の上にのせ、地上を航行したほうがいいと考えました。実際にやってみると、本当にリアルに見えます。

photophoto 確かに絵になる

——組み立てに接着剤は使いますか?

 接着剤は使用します。最近のプラモデルは接着剤のいらない「スナップフィット」が主流で、私も以前担当していた食玩の艦船模型などでは完全なスナップフィットを採用していました。しかし、そのために外観を犠牲にした部分が少なからずありました。

 例えばマストのような細い部品と細い部品の結合では、スナップフィットの都合で本来はありえない太さの部品を取り付ける必要が生じてしまいます。今回は、最低限の接着材を使うことで、外観を犠牲にすることなく戦艦大和を作成できるようにしました。

——最新の考証に基づいた精密模型という点も大きなポイントです。具体的に従来のスケールモデルとどのように違うのでしょう。

 スケールモデルを作る人の多くは、外観をより細かくしたい、見た人を驚かせたいという気持ちを持っていますよね。そして技術の進歩によって、より細かい部分を再現できる時代になり、ユーザーの目もそれを求めています。

 他社製品の話になりますが、有名な洋上模型シリーズの戦艦大和が登場してからすでに15年が経過しています。当時は(設計に使う)3D CADなどありませんでしたし、15年の間には戦艦大和の研究も進みました。今なら、最新の技術と最新の考証により、戦艦大和をさらに忠実に再現できます。

photophoto 大和をよりリアルにする金属パーツ(エッチングパーツ)も用意した。戦艦大和本体とエッチングパーツを同時に開発することで、一般的なエッチングパーツよりも装着しやすい構造になっているほか、塗装済みという点も新しい。別売の「戦艦大和ディティールアップパーツセット」(5460円)に含まれている

 大和の調査という点では、例えば5年前に「呉市海軍歴史科学館 大和ミュージアム」開館の際、10分の1スケールの戦艦大和が製作されました。10分の1というと、やろうと思えばネジの1本まで再現できてしまうスケールですから、事前に膨大なリサーチが行われました。そして4年前には、戦艦大和の海底調査もありました。今回の戦艦大和には、これらの調査で明らかになった新しい情報も盛りこんでいます。

——その情報が反映されている部分を教えてください

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