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» 2010年11月23日 14時46分 UPDATE

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:秋のオーディオ大豊作祭り(前編) (1/2)

秋はオーディオ関連イベントがめじろ押し。しかも、今年は注目製品が多いようだ。AV評論家・麻倉怜士氏に、おすすめ最新アイテムを聞く“秋のオーディオ大豊作祭り”。前後編でどうぞ。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 秋葉原で開催中の「オーディオ&ホームシアター展 TOKYO 2010」(音展)や「2010東京インターナショナルオーディオショウ」など、11月はオーディオ関連のイベントがめじろ押しだ。しかもAV評論家・麻倉怜士氏によると「今年はオーディオ機器が大豊作」という。イベント期間中は講師として精力的に活動する麻倉氏に、おすすめ最新アイテムを聞く“秋のオーディオ大豊作祭り”。展示会に行った人も、行けなかった人も是非どうぞ。

——まず、オーディオではありませんが、音展の開幕記事で予告してしまったシャープの3Dプロジェクターについてインプレッションを聞かせてください。

ts_sharp01.jpgts_sharp02.jpg 音展のシャープブースで3Dプロジェクターをチェック

 ご存じの通り、シャープの3DプロジェクターはDLP方式を採用しています。音展の現物はとても明るく、コントラストが良いうえにクロストークが少なかったことに驚かされました。DLPは白色の光を回転するRGBのカラーフィルターを通すことで着色、フルカラー化する仕組みのため、「カラーブレーキングノイズ」が発生するという欠点があります。そのため、かつてDLPプロジェクターを作っていた大手国内メーカーは軒並み撤退してしまいました。しかし、展示機は意外にもカラーブレーキングノイズを抑えていて、ほとんど目立たず、3D画質も良好でしたね。輝度とコントラストがよく、問題のクロストークもそもそもDLPが高速駆動なので、目立ちません。

 シャープの3Dプロジェクターは、2つの“復活”を意味しています。それは、DLPプロジェクターの復活と、シャープ自身の復活です。同社は720p世代までは国内でもフロントプロジェクターを販売していましたが、ここ数年は新製品を出していません。今回、一般ユーザーが多く集まる「音展」でデモンストレーションを行ったということは、最終決定ではないにしろ、国内市場に投入する意志があるということでしょう。ソニーやビクターのLCOSだけでなく、3DプロジェクターにDLP方式という新たな選択肢ができたら、市場も面白くなってきます。ぜひ日本での発売をみんなで期待しましょう。

ts_sharp03.jpg

注目のモデルチェンジ「Q Series」(KEF)

 音展には出ていませんが、今年の秋のスピーカーで最大の話題が、イギリスの名門、KEFから9月に登場した「Q Series」です。同社は現行の「iQ Series」でかなり評価を高めましたが、それを全面的に入れ替えました。型番は、iQ Seriesの2ケタから3ケタに上がっていますが、確かに音質面でも1ケタ以上上がった印象です。価格帯は変わらないため、これはお買い得ですね。

ts_q01.jpg 英KEFの「Q Series」。ラインアップは、フロアタイプの「G900」「G700」「G500」、ブックシェルフの「Q300」「Q100」、センタースピーカーの「Q600c」「Q200C」、ダイポールスピーカーの「Q800ds」、パワードサブウーファー「Q400b」

 Q Seriesとの違いは、まずキャビネットが大きく、四角になりました。伝統の同軸スピーカー「UniQドライバー」も新開発になり、ツイータードライバーはアルミ振動板(従来はポリプロピレン)を採用しました。口径も大きく、高域を余裕を持ってドライブできます。シリーズ全体を通して言えることは、剛性感が上がり、ワイドレンジになり、全体的に安定化を増したということ。iQ Seriesでは、セットで6万円台の「iQ30」がベストセラーでしたが、後継の「Q300」(ペア6万6000円)はスタンダードの価格を大幅に超えた価値のある音を聴かせてくれます。

 フロアタイプの「Q500」以上は、KEFが得意とする「ドローン・コーン」というパッシブウーファーを使用しています。磁石を持たず、アクティブウーファーの背圧をうけてユニットを動かす仕組みで、バスレフポートと同じ役割(位相反転)ですが、バスレフポートのような風切り音がなく、微小信号を生かせるのが特長です。英国の楽器「バグパイプ」の低音部ドローンから名前を取りました。ちなみにドローン・コーンを国内メーカーが採用しないのは、とても扱いが難しくて、失敗するとそれこそ音が“どろ〜ん”となってしまうからです。

 KEFのドローン・コーンはこれまで、低音の量感は出るものの切れ味が悪かったのですが、今回は実に良くできています。縦長のキャビネットを上下に分け、低音と高音のスペースを分離したことが効き、とくに(一番大きな)「Q900」は素晴らしいできでした。

 Q Seriesのラインアップをすべて聴いてみると、それぞれ型番通り、リニアに性能が上がっていく印象ですが、G900だけはそれ以上に良いです。低音の充実感や高音の伸びといった部分ももちろん、音楽の色気といいますか、生々しい音を実に気持ちよく聴かせてくれるスピーカーでした。若干、サイズは大きめですが、大きさを感じさせない繊細な音で、かつ大きさを感じさせる雄大な音でもあります。価格はペア19万8000円。コストパフォーマンスはすごく高いです。

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