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ついに登場した3Dプロジェクター、ソニー「VPL-VW90ES」の実力レビュー(1/3 ページ)

» 2010年11月25日 18時03分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]

 プロジェクターにも、いよいよ3D時代の到来となった。そのスタートを飾る製品が、11月20日に発売されたソニーの「VPL-VW90ES」だ。

コンシューマー向けプロジェクターとしては初となる3D対応モデル、ソニー「VPL-VW90ES」。

 VPL-VW90ESは、ソニーのプロジェクターラインアップのなかで、トップエンドの「VPL-VW200」とエントリークラスの「VPL-VW20」の中間に位置するモデル。しかし搭載されているメカニズムの内容やソニーがオーディオ上級機種に与える「ES」の型番、さらに72万4500円というメーカー希望小売価格から分かるように、事実上のハイエンドと呼べる内容を持ち合わせている。まずはスペック的な詳細から見ていこう。

 VPL-VW90ESには、ソニー独自の反射型液晶パネル「SXRD」が採用されている。反射型液晶パネルは、一般的に広く使われている透過型液晶パネルに対し、階調表現の豊かさや色再現性の確かさ、動画に関するキレの良さがアドバンテージとなっているが、VPL-VW90ESではさらに進化した0.61型新SXRDパネルを採用、画素間スペースを0.25マイクロメートルまで狭くして、メッシュ感の少ないフィルム的な映像を実現した。同時に2マイクロメートル以下の液晶セル厚と垂直配向レイアウトにより、2ミリ秒以下の高速応答速度をも実現。フレームレート120Hzという液晶駆動速度とあわせ、激しい動きのシーンでも残像感の少なさを誇っている。

いまや中上級機では当たり前のように付属する自動レンズカバー。意外とこれが便利だったりする(左)。ボディーサイドに入力系が集まる。HDMIは2系統を用意、コンポーネント入力も備わる(右)

 一方で、光源は200ワットの高圧水銀ランプを、レンズにはアルミ鏡筒にマルチ反射防止処理コーティングを施したガラスレンズを組み合わせたARC-F(オールレンジクリスプフォーカス)レンズを搭載。映像の明るさに応じてランプ光量を自動制御する「アドバンストアイリス3」や液晶パネルの視野角特性を改善する高性能フィルターとも相まって、15万:1というコントラスト比を実現した。

 さらに、ビデオプロジェクター用に開発されたフルデジタルの高画質回路「ブラビアエンジン2」や、残像感を少なくする「モーションフロー」も採用。映像表現と動画性能の両面において、さらなる映像クオリティーの向上が推し進められている。

あまり使用することのない本体の操作ボタンはカバー内に収められている(左)。リモコンには映像モードや各設定が直接呼び出せるボタンが用意されている。そのため使い勝手はかなり良い(右)

 先にフレームレートは120Hzと書いたが、3D表示時にはその倍の240Hz駆動となる。いわゆる4倍速である。3D対応液晶テレビのほとんどがこの240Hz駆動を採用しているように、全画素を一度に描き出せない液晶の場合、クロストークを抑えるために4倍速が重要となる。VPL-VW90ESに搭載されている新型のSXRDパネルは、これを実現することで「世界初」の3Dコンテンツ対応市販プロジェクターとなった。

 このように、スペック的な観点から見ると、VPL-VW90ESは単に3Dコンテンツ対応になっただけでなく、コントラスト比や動画性能など、随所においてグレードアップが図られていることが確認できる。

6畳間の「極小シアタールーム」に導入!

 もともと定評あるソニーのプロジェクターの新モデル、しかも3D対応とあっては、おのずと期待が高まってくる。早速テスト機を借りて、わが「極小シアタールーム」の100インチスクリーンで実力のほどを確認してみることにする。

 設置は、普段プロジェクターを置いているところ、天井に近い天袋の部分とした。レンズシフト機能を使うため、ベストな環境といえないかもしれないが、それも含めて現実的な設置場所の方がリアルなリポートをお届けできるだろうという判断だ。

 実際の設置作業に関しては、取扱説明書を読まなかったものの、迷うことや手間取ることは一切なかった。多くの場合、配線は電源とHDMIだけとなるはずなので、僕でなくてもまず戸惑うことはないだろう。水平取りも、セッティング用の画面表示を使いつつ、前方の足を回して調整すればよいので簡単だった。

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