ソニーのAVアンプは、そのサウンドクオリティーにおいて歴代好評を博してきた。その最新モデルである「TA-DA5700ES」は、「サウンドオプティマイザー」「9.1ch対応のA.P.M.(オートマティック・フェーズ・マッチング)」「パラレルD/Aコンバーター」「ダイレクトクロッキング・コンストラクション」など、さまざまな新機能を搭載し、AVアンプとしてのレベルを引き上げている。今回、開発者である金井隆氏、渡辺忠敏氏、酒井和樹氏の3人に、その詳細を聞いた。
――多くの機能を追加した「TA-DA5700ES」ですが、最大のアピールポイントはどこですか?
金井氏:なんといっても、音量を上げなくても豊かなサウンドが楽しめる「サウンドオプティマイザー」です。映画コンテンツはボリュームを大きくすれば迫力あるサウンドを楽しめますが、一般家庭で、そこまで音量を上げるのはあまり現実的な話ではありません。そこで、リビングのような場所でも、音の豊かさや迫力が感じられるサウンドを目指しました。
――具体的にはどのようなことを行っているのですか?
酒井氏:間の聴感特性には、聞こえやすいところと聞こえにくいところがあって、音量が下がるほどそれが顕著になります。それを補正する周波数特性を作り、TA-DA5700ESに採用しました。ベースとなっているのは、聴覚の等感曲線の国際規格「ISO226」(→参考資料)です。
こちらは、「等ラウドネスレベル曲線」とも呼ばれ、音量によって聞こえ方がどう変わるかを精密に数値化したもので、1万9000人が参加し、述べ200万回にも及ぶ大規模な測定が元になっているのが特長です。ただし、この規格では音同士のマスキング効果や位相特性などは考慮されていないため、この部分はソニーで検証して、独自のデータを作りました。
金井氏:結果として、かなり小さな音量でも音やせのしない、ボリューム感や表現が豊かなサウンドが実現できました。
――これまでの製品にも、マイク測定による自動音場補正機能「D.C.A.C.(デジタル・シネマ・オート・キャリブレーション)」や、フロントスピーカーとほかのスピーカーの位相をそろえる「A.P.M.(オートマティック・フェーズ・マッチング)」などがありましたが、その進化版といえるのでしょうか。
金井氏:家庭の環境を電子技術で補正して改善するという意味では同じですし、そういったシステムが存在する製品だからこそ実現できた側面もありますが、スタンスは全く新しいものです。一般家庭の常識的なボリューム、場合によってはちょっと小さめのボリュームでも、制作者が意図したとおりのサウンドバランスで映画や音楽が楽しめるように徹底追求したAVアンプは、TA-DA5700ESが初めてだと自負しています。
――確かに、小さな音でも変わらず楽しめるのは、大きなアドバンテージだと思います。
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