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LINNの「DSMシリーズ」がホームシアターの音を変える?麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(1/3 ページ)

» 2012年08月18日 14時52分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 昨年秋にLINNが発表した新コンセプトモデル「DSMシリーズ」。高級ネットワークオーディオプレーヤーとして注目されている同シリーズだが、AV評論家・麻倉怜士氏によると、ほかにも見逃せないポイントがあるという。それはHDMI入力の品位だ。詳細を聞いていこう。

麻倉氏宅にはLINNの「CD12」や「AKURATE DS」などが鎮座している

麻倉氏:今回のテーマは、LINN(リン)の「DSMシリーズ」がホームシアターの音質に革命を起こすという話です。DSMシリーズは2チャンネル用に考案されたものですが、これにAVアンプを組み合わせることでトータルの音質を大幅に向上させることが可能になります。今後、ハイエンドユーザーのトレンドになることでしょう。

――従来のDSシリーズと何が違うのですか?

麻倉氏:「DSシリーズ」は、“DS(Digital Streaming)”――つまりPCやNASに保存している音楽データを再生するネットワークプレーヤー機能を中心に、製品バリエーションを展開してきました。例えば「SEKRIT DS-I」は、ネットワークプレーヤーにプリメインアンプを統合したもの。ただしシリーズを通して音源インタフェースはイーサネット(LAN)がメインで、アンプ製品でも外部入力はアナログしか持っていませんでした。

 対して、2011年の秋に新コンセプトのオーディオ機器として登場した新しい「DSMシリーズ」は、ネットワークプレーヤーにプリアンプ機能を統合し、さらにHDMI入力や同軸/光デジタル入力、アナログライン入力を備えています。プリアンプというのは、多彩な入力ソースを選択し、パワーアンプに引き渡す機能を持っているものですから、自然な進化といえるでしょう。

 DSMの“M”は、MP3からスタジオクオリティーのハイレゾ音源まで扱える「Music」、映画もまとめて高品質で出力できる「Movie」、そして「Multi-source」(マルチソース)など、多彩な意味を持っています(編注:ほかにMobile、Multi-room、Multi-user)。つまり、PCの音源をネットワーク経由で再生するだけでなく、さまざまな音源を操るコントローラーになるというわけですね。現在は「KLIMAX DSM」「AKURATE DSM」、そしてパワーアンプまで統合した「MAJIK DSM」の3製品をラインアップしています。

左から「KLIMAX DSM」「AKURATE DSM」「MAJIK DSM」

製品名 KLIMAX DSM AKURATE DSM MAJIK DSM
ネットワークプレーヤー
プリアンプ
パワーアンプ なし 100ワット+100ワット
HDMI入力 3系統 4系統
そのほか入力端子 XLRバランス×1、同軸デジタル×2、光デジタル×2 XLRバランス×1、同軸デジタル×3、光デジタル×3、RCA×2(うち1つにMC/MM Phono設定可) RCA×4(うち1つのMM Phono設定可)、同軸デジタル×3、光デジタル×3、ミニジャック(フロント)
出力端子 XLRバランス×1、RCA×1、HDMIパススルー×1 XLRバランス×1、RCA×2、同軸デジタル×1、光デジタル×1、HDMIパススルー×1 RCAプリ出力×1、RCAライン出力×1、同軸デジタル×1、光デジタル×1、HDMIパススルー×1、ヘッドフォン(フロント)
定価 252万円 89万2500円 47万2500円

――ネットワークオーディオ機能を持つAVアンプなども多く登場していますが、DSMシリーズが注目を集めているのはなぜでしょう?

麻倉氏:大きな理由は、HDMI入力の音質が飛び抜けて良いことです。HDMIの音も最近はかなり改善されていますが、現在でも同じ機器なら同軸デジタル接続のほうが良い結果になることが多いです。しかし、DSMシリーズには驚かされました。「MAJIK DSM」を試聴したところ、実にしなやかで品位が高く、濃密な音を聴くことができました。音がしっかりとしたベースを持ちながらも“しなやか”という、LINNのハイエンド製品ならではの高次元な音です。このような音がHDMI入力で聴けるというのは、これまで絶対に考えられなかったことでした。

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