システムの自由度に加えてもうひとつ、ネットワークオーディオならではの大きなメリットが、サーバの部分を複数のシステムで共有できることだ。
例えば、リビングに本格オーディオシステム、書斎にデスクトップシステム、寝室にネットワーク対応コンポを置くとする。これらのすべてが、同じNASに収められている音楽ファイルを再生することが可能だ。「そんなの当たり前じゃん」と思うかもしれないが、実際に使ってみると、これがとてつもなく便利なのだ。
一度使い始めると「何故このくらいできないの? いちいちファイルをすべての機器に入れなきゃならないの??」と、ローカル再生機器の不便さに閉口してしまうほど。それほどまでに、ネットワークオーディオは今の時代にマッチしたシステムであり、とても使い勝手がいい。
そんな便利なネットワークオーディオだが、実際に使い始めたい場合は、何からそろえれば良いのだろう。オススメなのは、まず最初にDLNAやAirPlay対応など、音楽再生に対応しているNASを用意することだ。
これさえあれば、そしてこのなかに音楽ファイルを入れておけば、さまざまなネットワーク対応機器から手軽に音楽再生ができるからだ。NASの設定は、PCにあまり詳しくない人には多少ハードルが高いかもしれないが、そういった人のために設定を簡単にした製品が増えている。例えば、オリオスペックが販売するQNAPのTurboNASシリーズ「TS-119」など。こういったものを利用するのもひとつの手だ。
ちなみに、NASといっても音楽再生に対応していないモデルや、音楽再生を行うためには自分で(NASに)「Twonky Media」などのソフトをインストール、設定変更を行わなければならない機種も多いため、注意が必要だ。また、AirPlayにしか対応していないといった機種もある。そのあたりは、購入前にしっかり機能を確認しよう。
もちろん、NASではなく音楽再生用にPCを1台用意するのも1つの手だ。Windows 7のWMPを利用すれば、外部機器から手軽に音楽ファイルの伝送を行えるし、そのほかにもさまざまなネットワークオーディオ用のソフトが用意されている。この場合、電源は入れっぱなしとなるが、とりあえず余っているPCを、CDからのリッピングマシン兼音楽ファイル収納場所に活用するのもいいだろう。
プレーヤーを何にするかは、対応アイテムが多いため大いに悩むところだが、こと音質のことを考えると、専用プレーヤーがオススメだ。
パイオニア「N-50」やマランツ「NA7004」などは、192kHz/24bit対応のネットワークプレーヤー機能に加えて、AirPlayにも対応。さまざまな機器から音楽ファイルが再生できる。そして、肝心の音質もかなりのクオリティーを発揮してくれる。わざわざ専用機器を用意するだけの上質なサウンドを楽しませてくれるのだ。また、先日デビューしたヤマハ「CD-N500」は、192kHz/24bit対応のネットワーク機能に加えて、CDドライブも内蔵。普段はピュアオーディオ機器としても利用することができる。
このほかにも、最近はミドルクラス以上のAVアンプに必ずといっていいほどネットワークオーディオ機能が搭載されているし、最新のピュアオーディオアンプも、ネットワークオーディオに対応する機種が登場している。そういった製品をチョイスするのも1つの手だ。
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