ITmedia NEWS >

“見たい”が見つかる電子番組表、東芝「RZ番組ナビ」有料放送やVODも

» 2012年12月12日 17時24分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 テレビを見ながらスマートフォンやタブレットを操作するマルチスクリーン環境。気になったことをすぐに調べられる利便性は、一度体験すると手放せなくなる。中でも番組表や番組情報を手元に表示できるアプリは、テレビ画面をジャマしない、ありがたい存在だ。

 東芝がリリースした「RZ番組ナビ」も、そんな電子番組表アプリの1つ。ただ、地上デジタル放送やBSデジタル放送だけではなく、CS専門チャンネル(110度、124/128度含む)の番組表やVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスのカタログまで参照でき、さらに番組表と複数のVODを横断的に検索する機能や、出演者のプロフィール情報などを表示する機能もある。

電子番組表は、縦軸に放送局、横軸が時間。放送波ごとの表示やお気に入りチャンネルだけを集めた表示も可能だ(左)。こちらはフリーワードによる検索画面。検索結果には、地上/BS/CSの番組のほか、VODコンテンツ、人物情報も並ぶ。青いアイコンが人物情報、緑のアイコンはVODのコンテンツだ(右)

 このような統合された電子番組表は「トータルガイド」と呼ばれ、CATVによりテレビ視聴が一般的な米国でいちはやく注目を集めた。東芝は、昨年7月に米Roviからトータルガイドに関するライセンスを受け、今年から「Toshiba MediaGuide」を提供している。それを日本市場向けに作り直したのが「RZ番組ナビ」だ。東芝の開発担当者にくわしい話を聞いた。

「これ、誰だっけ?」が解消できる

 東芝クラウドサービスを統括する片岡氏秀夫氏は、「米国でToshiba MediaGuideを披露したとき、日本のVOD事業者さんも高い関心を示してくれました。EPGとVODの統合という点で、具体的かつキレイに解決するものは、それまでなかったからです」と振り返る。

 「ただ、日本と米国では、番組メタデータの整備状況やVODの文化が大きく異なります。また日本独特の録画文化もあり、それらの要素を加味して“日本らしいアプリ”に組み立て直したのがRZ番組ナビです」(片岡氏)。

左からプラットフォーム&ソリューション開発センターの高橋庸介氏、同じく永濱健太郎氏、アプリ開発を担当した商品統括部の坪井創吾氏、片岡氏秀夫氏

 例えばタレントなど出演者のプロフィール情報は、「Yahoo!人物検索」と連携した。「番組詳細画面」では、番組情報に加えて出演者や制作者が一覧でき、(番組によってない場合もある)出演者の1人をタップすると「人物詳細画面」に。画面の上半分を使って「Yahoo!人物検索」の該当ページが開く仕組みだ。さらに「更新」ボタンを押すと、今度はその人が出演するほかの番組をリストアップしてくれる。

 また、出演者の名前や番組名から、Web/画像/動画の検索も可能だ。この場合、Googleの検索結果が表示されるため、普通にWebブラウザを使う場合と結果は変わらない。ただし、キーワード入力の手間が省け、同じアプリ内で完結する利便性は高い。

 「更新ボタンは、検索結果を検索クエリーに変えるもの。テレビを見ていて、この人は誰だっけ? と思うことは多いでしょう。そんな時に便利です」(坪井氏)。

録画環境を統合、iOS版も鋭意準備中

 もう1つの特長は、東芝製レコーダーや録画機能付きテレビに対する統合的な録画予約管理機能を持っていること。最新機種はもちろん「RD-X6」以降のレグザAppsコネクト対応機種に対して、番組表からのチャンネル切り替えや視聴/録画予約などが行える。また、外出先から自宅のレコーダーに対して録画予約を指示することも可能だ(機種によって対応できる機能が異なる。同社サイトの対応機器情報ページを参照してほしい)。このような形で旧機種をサポートできるのも、早くからネットワーク対応に取り組んだRDシリーズならでは、だろう。

あらかじめ機器登録しておけば、同社製レコーダーに録画予約を設定できる

 VODの検索結果もテレビやレコーダーと連携する。現在、RZ番組ナビが対応しているVODは、「U-NEXT」と「TSUTAYA TV」の2つ。検索結果に表示されたコンテンツをタブレットで視聴する機能は持っていないが、レグザ「Z7/J7シリーズ」などがあれば、テレビ画面でコンテンツを視聴できる。データ連係でテレビ側のVOD機能が立ち上がり、該当するコンテンツのストリーム再生を始める仕掛けだ。このとき、タブレットの画面には簡易リモコンが表示されるため、テレビのリモコンを探す必要もない。

VODコンテンツを指定すると「Z7で再生しますか?」という旨のダイアログが表示され、テレビのVOD機能が立ち上がる(左)。タブレットには簡易リモコンが表示される(右)

 GUIのレスポンスにもこだわった。メタデータのサーバを担当する永濱氏、クライアントを担当する高橋氏は、操作時の快適さを重視してチューニングを行ったという。例えば、タブレットは持ち歩いて使えるメリットもあるが、番組表データは容量が大きく、すべてをローカルにキャッシュするとタブレットの動作が不安定になる可能性が高い。このため、ローカルに持つ番組情報は24時間ぶんとした。

 「VODでもローカルに持つのはホットリスト(おすすめコンテンツ)のみです。これは端末側の動作とともに、サーバの負荷を抑える目的もあります」と話す。「速度要求がかなり厳しいので、日々苦労しています。それでも日本版はキャッシングの効率化や工夫により、米国版の3倍ほど速くなりました」。

iPad上で動くiOS版Media Guide

 RZ番組ナビは、アクティブにコンテンツを探したい人にもおすすめの番組表アプリだ。ただし、まだ進化の余地も多い。片岡氏が“次のステップ”として挙げたのは、TimeOnとのアカウント共通化やユーザーインタフェースの改善など。例えば横断検索の際に各コンテンツに付くアイコンは、今のところEPG/VODの区別しかできない。これを放送局のアイコンに変更する。ほかにもGUI上の分かりにくい表記を改めるなど、ユーザーの意見をくみ上げながら順次改善を進める方針だ。ユーザーインタフェースのほとんどをサーバ側から持ってくるため、改善は比較的楽だという。

 なお、現在の「RZ番組ナビ」はAndroidタブレット向けに提供されているが、iOS版についても、「もとになったToshiba Media GuideにはiOS版も存在します。提供時期は未定ですが、鋭意準備中です」(坪井氏)と話していた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.