「2013 International CES」をテレビの目線で総括すると、その内容は“4K”(海外ではUltra HDと呼ばれている)の一言に尽きるだろう。さらなる大画面化や有機EL、クラウド連携といったトピックもあるものの、大枠としては4Kがその中心にあったと思う。今回はこの4KをテーマにCESでの各社の動向を追ってみよう。
テレビメーカー、中でも東芝、ソニー、シャープといった日系家電メーカーのブースは4K関連の展示が目立った。パナソニックでも当面は業務用としながらも56V型4K有機ELテレビの展示が行われていた。
しかしアプローチはさまざま。例えば東芝ブースでは、正面に4Kテレビを複数並べ、「いかに既存コンテンツを楽しむか」という点にフォーカスしたデモを行っていた。周知の通り、現時点ではBlu-rayやオンラインで供給されるコンテンツのほとんどはフルHD止まりで、4Kネイティブコンテンツというのはほとんど存在しない。しかし、現行のデジタルハイビジョンはもともと50インチクラスまでのテレビを想定したもので、画面サイズが大きくなれば画素の粗さが目立つようになる。そこでアップコンバートと超解像技術で4K解像度の映像を作り、フルHDの4倍の解像度を持つ4Kテレビに映すことで、大画面でも粗さを感じさせない。カギになるのは、より綺麗な画像を出力するアルゴリズムと処理エンジンとなり、こうした工夫がよく見られたのが前述の日系メーカー各社というわけだ。
東芝では、新開発の映像エンジン「CEVO 4K」を展示。同じフルHDの画像ソースを使ってフルHDテレビと4Kテレビの出力映像を見比べるデモでは、アップコンバートした画像にありがちな“ボケ”た感じもなく、文字や細かい模様などがよりシャープな形で表現されていた。なお、同じ映像ソースをHDMIで入力しながら、フルHDテレビに比べると4Kテレビの表示はコンマ数秒ほど遅延していた。これはアップコンバートのための画像変換をかけていることに由来するが、むしろ、それだけの処理を“ほぼリアルタイム”で実現していることに驚かされる。
このほか、東芝ブースではデジタル一眼レフカメラを使って撮影した高精細画像を4Kテレビに表示したり、PCのモニターの代わりに活用する事例なども紹介されていたが、これは「IFA 2012」での展示内容とほぼ同じ。あくまで「4Kコンテンツがほとんどない」という現時点でのソリューションとして提案していた。
東芝と並んで、おそらく今回最も4K展示に力を入れていたのがソニーだ。プレスカンファレンスで紹介された56型4K有機ELテレビはブース中央に配置され、目玉展示となっていた。テレビが脇役的な存在だった昨秋の「IFA 2012」と異なり、CESではブース全体の半分近くがテレビ関連の展示で占められるなど、とくに4Kを中心とした展示が充実していた。
展示内容は、「4Kテレビをいかに活用するか」といった提案型ソリューションを中心としたもので、ホームシアターやライブ鑑賞、ホームビデオの映像など、生活に密着した4K活用例が多数紹介していた。とくにソニーはビデオカメラやスマートフォン、タブレット、PCといった周辺機器が充実しており、これらを組み合わせての活用例も多数展示されていたのが印象的だ。
技術展示では、「X-Reality Pro」によるフルHDコンテンツのアップコンバートをはじめ、新しい4K液晶テレビ“ブラビア”「X900Aシリーズ」に採用された「トリルミナス」(Triluminos)技術ど、特に映像の再現力を強くアピールする展示が目立つ。こうした傾向はシャープブースなどでも見られ、画質にこだわる日本メーカー全体の特長といえそうだ。
また「4K Media Player」という“おひつ”型のメディアプレーヤー製品もユニークだ。Blu-ray Disc再生のほか、内蔵ストレージにコンテンツを保存してメディアサーバ的な利用を想定しているという。
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