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2013年を総括! 「麻倉怜士のデジタルトップ10」(前編)麻倉怜士のデジタル閻魔帳(1/3 ページ)

» 2013年12月25日 15時12分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 4Kテレビにハイレゾ音源、いろいろあった2013年もあとわずか。そんな1年間を振り返り、とくに印象に残ったものをランキング形式で紹介する恒例「麻倉怜士のデジタルトップ10」。今年もオーディオ・ビジュアルのハード&ソフトはもとより、デジタルカメラや業務用機器までノンジャンルで順位づけしました。

――今年も1年間、お疲れ様でした。恒例のデジタルトップ10です

麻倉氏: 今年は、ハイレゾ音源配信が本格化して2年目を迎え、ユニバーサル・ミュージックのBDオーディオ参入など話題が豊富でした。ランキングにも関連トピックが多いです。さっそく番外から紹介していきましょう。

番外:BDオーディオ「SONG〜ウラニエンボルグ・ヴォーカル・アンサンブル」

麻倉氏: 数あるBDオーディオの中でも、私が気に入っているのが、世界最古のBDオーディオカンパニーでもあるノルウェーの2Lのタイトルです。今回は番外として「SONG〜ウラニエンボルグ・ヴォーカル・アンサンブル」を取り上げたいと思います。

「SONG〜ウラニエンボルグ・ヴォーカル・アンサンブル」(輸入盤)

 音質へのこだわりがすごい2Lは、352.8kHz/24bitの「DXD」と呼ばれる“ウルトラハイレゾ収録”を行い、そこからダウンサンプリング、フォーマットを変換してSACDやBDオーディオを作成しています。同社は地元ノルウェーのクリエイターにフィーチャーすることが多いのですが、最新の「SONGS〜」もノルウェーのウラニエンボルグ・ヴォーカル・アンサンブルで、今回は「人間と自然と神の関わり」という壮大なテーマを掲げました。

 音質は素晴らしいの一言です。低域の解像感から高域の明瞭(めいりょう)度、ハイレゾ音源ならではの音の良さを堪能できます。そして会場となったウラニエンボルグ教会は響きが芳醇(ほうじゅん)で、声の滞空時間が長いとでも言いましょうか。あたかも反響する音が目に見えるかのように、教会の高さや広さ、奥行きまで感じさせるのです。BDオーディオの中でも今年の傑作といえるでしょう。

 以前、キューテックの「「THE EARTH」(ジ・アース)」を取り上げましたが、同一タイトル、同じ収録であっても、CDやアナログLP、オープンリールといったメディアの違いでそれぞれに音が異なることが分かります。現在、普及しているハイレゾ配信も、どのような素性を辿って手元に届くかは分かりませんし、中には音が“いまひとつ”とされるタイトルもあります。しかし、BDオーディオではその辺が正しく音質管理されているので、極めて高いレベルで音の品質が安定しています。2Lやカメラータ・トウキョウ、ユニバーサルなど、メディアを制作している会社が音にまで責任を持ってエンドユーザーにまで届けている点を評価したいと思います。

キューテックの「THE EARTH」(QADS-1001)は、同じ音源をガラスCD、HQCD、SHM-SACD(シングルレイヤー)、BDオーディオ、100% Pure LP、CDという現在考え得るすべてのメディアですべて作り、セットで販売した(ガラスCDは単品販売)。各メディアの持つ再生能力、再生音調を聴き比べるための「オーディオリファレンスディスクセット」だ。さらにオープンリールの2トラック38センチ、2トラック76センチも用意した(同じく単品販売)

 つい最近、ソニー・ミュージックもBDオーディオに参入しました。他にも参入の構えをみせているところもありますので、来年が楽しみですね。

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