さて、そんな四角い「ホームボット スクエア」だが、実際にどれほどの掃除能力を持っているのだろうか? ロボット掃除機が四角いからといって、それだけで掃除能力が高いと考えるのは早合点だ。ここでは、掃除能力を支える重要な機能、さらにはホームボット スクエアならではの機能について、釜山工場内にある研究施設で開発に携わったキム・ボンギュ氏とイム・ビュンドゥ氏に詳しく聞いていこう。
まずは「ホームボット スクエア」の動きについて。ロボット掃除機の動き方は、大きく2つのタイプに分かれている。1つはルンバやシャープ「ココロボ」のように、室内を縦横無尽に動き回り、同じ場所を何度も掃除してきれいにするタイプ。もう1つは、「ホームボット スクエア」をはじめ、東芝やサムスンの「スマーボ」のように、空間の広さや形状をカメラやセンサーで確認しながら、なるべく効率良く動くタイプだ。
――どうして「ホームボット スクエア」は後者の動きを選んだのですか?
ボンギュ氏&ビュンドゥ氏: なるべく広範囲を効率良くきれいにするためです。例えば、ランダムに動くモデルの場合、1つの部屋を掃除するだけなら問題はありませんが、2つ、3つとつながった複数の部屋を掃除する場合、スタミナ不足で後半になればなるほど掃除力が落ちてしまいます。
「ホームボット スクエア」は1回ずつ効率的に通ることで、1部屋で動く距離が短い分、2部屋、3部屋と部屋が広かったとしても、100分という時間のなかでも約150平方メートルもの範囲を掃除できます。しかも、掃除が終わったら、スタート地点に自分で戻って充電。フル充電したら、先ほど終了した位置から再度掃除を始めます。
――1回ずつ効率的に通るといいますが、どうやってその場所を通ったか判断するのでしょう?
ボンギュ氏&ビュンドゥ氏: ホームボット スクエアの最大の特長は、マッピングシステムを搭載している点にあります。目に見えたり、画面に表示されたりはしませんが、上面と下面に搭載される「デュアルアイ」というカメラがポイントです。上面のカメラでは空間を常にデータ化しながら、部屋のマップを頭の中に描き、掃除しています。下面のカメラではセンサーが床を検知するとともに、移動距離を計算します。
このように自分が部屋のどこにいるかを理解する一方で、今度は前方に搭載されている音波センサーによって、逐一周辺の状況を判断します。例えば障害物がある場合は、ぶつかる直前に避けて、その周辺だけを掃除していきます。赤外線センサーではないので、ガラス面や黒い障害物などもしっかりと検知でき、部屋の家具や壁などに傷をつけることはありません。
――しかし、1度通っただけでは、きれいにできない場所もあるのではないですか?
ボンギュ氏&ビュンドゥ氏: とにかく掃除力を高める工夫を随所に施しました。まずはブラシです。1つは両側に搭載するコーナーブラシの毛足を従来機より約1.5センチ長くしたことで部屋の隅まで毛先が届きます。さらに両側に搭載することで、一度に多くのゴミをかき集めることができます。これにより、コーナーのゴミ除去率は約89%もアップしました。
続いて底面中央にあるセンターブラシ。こちらはフローリングなどの掃除に向いている標準ブラシに加え、カーペットでの掃除力をとくに向上させています。例えば硬めの毛でカーペットの奥にまでしっかりと入り込み、ゴミをかき出すカーペット用ブラシを同梱(どうこん)しました。これに交換することで、カーペット上では約30%も掃除力が向上します。さらにカーペットを検知すると、自動的に吸引力を高める「ターボモード」を搭載しているため、ほとんどの床面は1度通るだけで十分キレイにできるのです。
サイドブラシの回転速度についても工夫しています。一般的な掃除機と比較して、ブラシの回転をあえて1分間に200回転という“遅め”の速度に設定しています。これは、小さな砂粒のようなゴミがあったとき、周囲に弾き飛ばすことなく、しっかりと本体の前方に集めて吸い込むためです。
――それでも、1回ではやはりゴミを取りきれないのではないかと感じる人も多いのではないでしょうか?
ボンギュ氏&ビュンドゥ氏: そうですね。そのために「ホームボット スクエア」には「リピート機能」をはじめ、多彩な掃除モードを用意しています。リピート機能は、とにかくバッテリーが切れるまで繰り返し掃除してくれる機能です。ほかにも、例えば集中的に1カ所だけを掃除する「ここだけモード」や障害物の多い部屋の一部などを掃除する際に役立つ「マイスペースモード」などがあります。
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