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» 2014年03月20日 10時21分 UPDATE

3匹が聴く!:増税前にいかがでしょう――イヤフォン・バイヤーズガイド2014年“春”(実売3万〜5万円編) (1/2)

今回のイヤフォン・バイヤーズガイドは実売3万円から5万円のゾーンと、かなりの高級品。消費増税の前に高級イヤフォンを購入したいと考えている人は注目してほしい。

[ITmedia]

 3月も半ばをすぎ、消費増税の前に高級イヤフォンを購入したいと考えている人も多いのではないだろうか。今回のイヤフォン・バイヤーズガイドは実売3万円から5万円のゾーンと、かなりの高級品が目白押し。物欲を満たす際の参考にしていただければ幸いだ。

 さて、本題に入る前に恒例「野村ケンジの一言アドバイスコーナー」。今回は予告通り、イヤフォンのスペック表に必ずある「音圧感度」を取り上げよう。前回の「インピーダンス」とあわせてどうぞ。

ts_5sanbiki012.jpg 評価中の1コマ

――今回は音圧感度です

野村氏: 音圧感度は、前回のインピーダンスと並び、イヤフォンの音量を知ることのできる指標です。スペック表に書いてあるのは、一般的に1mW(ミリワット)入力時にどの程度の音圧レベルを得られるかを示しています。音圧は音の大きさで、dB(デシベル)で表記されます。この値が大きいほど音量は大きくなりますが、実際にはインピーダンスと一緒に見る必要があります。

――どのように見るのでしょう

野村氏: 音圧レベルを3dB上げるためには、電力が2倍必要となります。例えば感度97dBでインピーダンス30オームのヘッドフォンAと、感度100dBでインピーダンス60オームのヘッドフォンBを同じ音量(ここでは分かりやすく100dB)で鳴らそうとしたとき。Aは感度が−3dBなので2倍の2mW、Bは1mWが必要です。このときの電圧(抵抗×電流)を計算すると、どちらも6mV(ミリボルト)のため、アンプなどのボリューム位置は同じ。ただ、インピーダンスの低いほうが電流が多く流れるため、ヘッドフォンAのほうがアンプには負荷がかかります。

 また、音圧感度は一般的に1kHzで測定しますが、メーカーによって100Hzの値だったり、そのほかにも測定環境が同じではなかったりと条件がまちまちで、単純に比較できないのが難点です。やはり重要なのは、購入前には普段使っているプレーヤーなどで実際に聞いてみることです。

――指標として使えないということでしょうか

野村氏: 例えば同じメーカーの製品同士なら、同じ条件で比較できるわけで「使えない」とまではいえないでしょう。でも、抵抗値であるインピーダンスに比べると使い方が難しいのは確かです。

 例えばゼンハイザーの「HD 800」のような高級ヘッドフォンを購入するとき。音圧感度は102dBとごく普通の数字ですが、インピーダンスを見ると300オーム。前回触れたようにインピーダンスが3桁以上ならヘッドフォンアンプがあった方がいいと判断してください。

――ありがとうございました

 その気になれば真面目な解説もできる野村氏を含む今回のレビュアーは以下の3名だ。

レビュアー紹介

野村ケンジ(のむら けんじ)

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弊誌連載「ぶらんにゅ〜AV Review」でおなじみ、年間500本を超えるイヤフォン/ヘッドフォンを試聴・評価する気鋭のオーディオライター。某レーベルのアニソン・ハイレゾ配信を影で支えるスーパーバイザーでもある。


坂井香(さかい かおり)

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タレント/モデル/DJ/ヘッドフォン女子。DJ名「@KAOPANGw」(かおぱん)としても知られる。音大出身で特技はピアノ。一方、筋トレやマラソンが好きというアクティブな一面もあり、最近ついにフルマラソンを完走した。拍手。


滝田勝紀(たきた まさき)

ts_takita02.jpg

弊誌連載「白物家電、スゴイ技術」担当ライター。約10年間、某モノ雑誌編集部で白物家電やヘッドフォン担当として活躍した後、フリーランスに。「All About」では家電ガイドとして活動、「家電AWARD」の審査員も務める。



 今回、3人が試聴したのは以下の6製品。実売価格は3月15日時点のAmazon販売価格を参照している。企画当初の価格調査から時間が経過したこともあり、一部製品で実売価格が3万円をきってしまったケースもあるが、もったいないので予定通り掲載した。こっそり下のクラスに移動させる手もあったが、今回は価格帯ごとに評価を行っているため、移動させると評価の前提が変わってしまう可能性もあるからた。

メーカー 製品名 再生周波数帯域 インピーダンス 感度 実売価格
クリプシュ Image X11i 5〜1万9000Hz 50オーム 110dB 2万9793円
ボーズ QuietComfort20 N/A 3万1500円
ソニー XBA-H3 3〜4万Hz 40オーム 107dB 3万2890円
ゼンハイザー IE80 10〜2万Hz 16オーム 125dB 3万5269円
Shure SE535 LTD 18〜1万9500Hz 32オーム 119dB 4万2800円
JVC HA-FX850 6〜4万5000Hz 16オーム 106dB 3万5820円

クリプシュ「Image X11i」

ts_5sanbiki03.jpg 「Image X11i」

 米国の老舗スピーカーメーカー、Klipsch(クリプシュ)のカナル型イヤフォン。バランスド・アーマチュア型1本というシンプルな構成ながら、同社「Xシリーズ」の最上位機に位置付けられている。

 アルミ製ハウジングは、Klipschイヤフォンのデビュー作である「Image X10」から受け継いだもの。本体は約10グラムと軽量で、ケーブルにはApple製品対応の3ボタン・リモコンマイクを装備。Klipschが特許を持つイヤーチップ「Oval Ear Tips」は5サイズが付属するほか、キャリングポーチ、航空機室内用アダプター、クリップなど豊富な付属品はさすが高級機種だ。

野村 ☆☆☆☆

1ドライバーでどれだけ音質を追求できるかを突き詰めた1本。X10から正常進化を遂げ、本当に自然な音を奏でる。リモコンが搭載されたことで音質的なデメリットが生じているかもしれないが、クオリティーはかなり高い。


坂井 ☆☆☆☆

BA1つでここまで聴かせるというチューニングは素晴らしい。音は文句なし、ボディーも細身で小さく、美しい。ただし、値段ほどのインパクトがあるかといえば微妙。価格的に期待値も高くなるだけにプラスαがほしいところ。


滝田 ☆☆☆☆

若干細身すぎる筐体自体、好き嫌いがあるかもしれないけど、バランスド・アーマチュア型1基で作り上げる音の再現力やバランスなどは、さすがクリプシュ。個性的でありながら落ち着いていて上品。豊富な付属品もうれしい。



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