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これがデノンの出したかった音――開発者が語る初めてのポータブルアンプ「DA-10」シリーズ化ですと?(1/2 ページ)

» 2014年07月19日 18時26分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 D&Mホールディングスは、「ポタ研2014夏」(フジヤエービック主催)の会場で7月18日に発表したUSB-DAC機能付きポータブルヘッドフォンアンプ「DA-10」の製品発表会を行った。壇上に上がったのは、開発を担当した同社CSBUデザインセンターの出口昌利氏と平山広宣マネージャー。また“ツッコミ役”を兼ねて弊誌連載でもおなじみの野村ケンジ氏が進行を担当した。

「DA-10」と発表会の様子。左から同社CSBUデザインセンターの出口昌利氏と平山広宣マネージャー、野村ケンジ氏

 DA-10は、デノンブランドとして初となる“ポタアン”だ。近年の需要拡大に対応するため、デスクトップ用の「DA-300USB」に続いて投入された戦略商品。iPhone 5/5sに合わせたという本体は、63(幅)×136(奥行き)×27(厚さ)ミリ、重量240グラム。ブラックの樹脂部をシルバーのアルミ素材で挟み込んだようなデザインで、ボリュームつまみやボリュームガードにもアルム無垢材を使用して高級感を演出した。曲面を多用したヘアライン仕上げのハウジングと合わせ、これまでのデノン製オーディオ機器とは異なり、見る人に中性的な印象を与える。



 それもそのはず、平山氏によると「デザインコンセプトを作る時、柔らかい印象を与える“ユニセックス”という視点が提案された」という。実際に製品をデザインしたのも女性デザイナーだ。このコンセプトは、「DA-300USB」から「DA-10」へ継承され、さらに今後登場する製品にも受け継がれる見通し。これらの新ジャンル製品は“デジタライゼーションシリーズ”としてコンセプトを共有し、今後もアンプなどの製品が登場するという。もちろん現時点で詳細は明らかにされていない。

 またDA-10では、非常に手間のかかる、こだわった回路設計を採用している点も特徴だという。それは、DACやオペアンプといったデバイスが持つ音に頼るのではなく、「独自の音を出したい」という考えによる。部材の選定にこだわり、独自のビット拡張&オーバーサンプリング回路「ADVANCED AL32 PROCESSING」(以下、AL32)を搭載したのも同じ理由からだ。


 AL32は、CDなら16bit入力を32bitまで拡張してダイナミックレンジを拡大し、さらに独自のアルゴリズムで時間軸方向の情報も補完する。このとき単純な補完処理を行うのではなく、連続的に変化する音楽信号から本来あるデータを推測し、デジタル変換の過程で失われた本来のアナログ信号の滑らかな波形を再現するという。

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