――有機ELはいかがでしたか?
麻倉氏: 今回、有機ELに力を入れていたのではLG電子くらいです。サムスンは昨年と同じ55V型の湾曲タイプのみでしたが、LGは65V型と77V型の湾曲4Kを展示していました。このうち65V型は欧州で韓国で販売する予定で、ひょっとしたら日本でも販売するかもしれません。価格は120万円程度です。
日本メーカーでは、パナソニックが65V型を展示しましたが、これはLG製のパネルを使用したもの。日本勢は完全に手を引いたという印象でした。パナソニックに展示した理由を聞くと、1つは市場調査だそうです。液晶テレビの倍以上の価格ですが、それをディーラーがどう判断するのかを見極めるために展示したわけです。
――有機ELパネルの外部調達ですか
麻倉氏: もちろん、パナソニックも自社の印刷方式で製品を出したいのはやまやまでしょう。しかし、現状では55インチまでしかできていませんから、テレビの大型化やパネルのバリエーションを考慮すると外部調達が現実的だと判断したのです。
先日、日本でも直下型LEDバックライトを搭載した液晶ビエラの新型「AX900シリーズ」が発表されましたが、有機ELはコントラストと色再現性でその上をいきます。LGパネルは白色有機ELにカラーフィルターで色を付けるスタイルで形は液晶と似ていますが、やはり液晶とは随分違います。画質志向のユーザーなら、その良さは認識するのではないでしょうか。
麻倉氏: 2つめのトピックはスマートテレビです。メーカーはほとんど言わなくなりました。いらなくなったわけではなく、もう当たり前になったということです。LG電子のWebOSはそれまでのOSがとても遅かったことから、操作性改善のために昨年入りました。今年はそれ以上の展示はありませんでした。一方で東芝の「Media Guide」が注目を集めていました。
これは、国内モデルの「ざんまいプレイ」のようなもので、録画や視聴の履歴から番組をレコメンドします。欧州では日本ほど録画文化がなくて、市場にあるレコーダーはほとんどシングルチューナーです。しかしダブルチューナーが登場し、履歴を参照して自動録画してくれる。欧州のユーザーにとっては新鮮です。東芝も今回は手応えを感じていたようです。
――3Dテレビはどうでしたか
麻倉氏: 展示としては、ほぼ消滅した印象です。唯一、LG電子が5メートルほどの横長マルチディスプレイを展示していましたが、それくらいですね。各社ともブースの入り口を見るとその年に力を入れている製品が分かります。例えばサムスンは湾曲テレビの巨大なオブジェでした。ソニーも入り口はテレビでしたが、あまり新鮮味はありません。むしろ直下型の「AX900シリーズ」と有機ELテレビ3台を展示したパナソニックはのほうがテレビは目立っていました。
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