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唯一の“4Kテレビ”――東芝「65Z10X」で高画質BDを堪能する方法山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/2 ページ)

» 2014年12月24日 19時11分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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 ちょうど1カ月ほど前、最新大型テレビ13モデルを一堂に集め、その性能をテストするという某新聞社の企画に参加した。

50V型の「50Z10X」

 内蔵チューナーを用いた地デジ/BSデジタルの受信画質、HDMI入力で見るシャープ「TU-UD100」を用いた「Channel 4K」の録画画質(4Kテレビ・グループのみ)、パナソニック「DMR-BZT9600」で再生する映画Blu-ray Discの画質とテスト項目は多岐にわたり長時間の仕事となったが、そのさまざまなコンテンツを観て、総合画質で間違いなくナンバーワンだと実感させられたのは、東芝「Z10X」だった(評価したのは50V型機。ちなみにソニーの「KDL-X9500B」はテスト機に含まれていなかった)。

 部屋を暗くして、「Z10X」の映像モード「映画プロ」で観る映画Blu-ray Discのすばらしさはよく理解していたが、「おまかせ」モードで観る地デジ/BSデジタルの放送画質も実に見事。ノイズがよく抑えられていて色合いが自然、輪郭強調のイヤらしさも少なく、きわめてナチュラルな画質なのである。「Z10X」の内蔵チューナーのクオリティーの高さと4Kアップコンバート他を司る東芝オリジナルの画像処理エンジンの出来のよさに改めて強い感銘を受けたのだった。

 その数週間後、今度はぼくの部屋で「Z10X」の65V型機を1日かけてチェックする機会があった。そのときは、最近お気に入りの映画Blu-ray Disc「鑑定士と顔のない依頼人」を「65Z10X」の多彩な画質調整項目を駆使してその高画質ぶりを味わい尽くし、「Z10X」の類稀な表現力の豊かさに再び感銘を受けることになった。

こちらが今回の主役、65V型の「65Z10X」

「4Kテレビ」と名乗れる唯一のモデル

 東芝REGZAは、今年の春に「Z9Xシリーズ」を、この秋に「Z10Xシリーズ」を矢継ぎ早に発表するという意欲的な展開を見せた。「Z9X」もたいへんよくできた製品だったが、先述のように「Z10X」はいっそう魅力的な4Kテレビに仕上げられている。

 そう、いま魅力的な4Kテレビと書いたが、本機「Z10X」は「Channel 4K」が楽しめる4K放送対応スカパー!プレミアムチューナー(4K対応CS 124/128度チューナー)を内蔵した初めての製品。考えてみれば「4Kテレビ」と名乗れる唯一のモデルなのである(他社の4Kテレビは、正確にいえば4K“対応”テレビということになる)。

 来年3月にスカパー!は世界初の4K専門チャンネル(有料)を2チャンネル態勢でスタートさせる予定。「Z10X」を買ってスカパー!用アンテナを設置すれば、モアチャンネル感覚で手軽に4K高画質がすぐに楽しめるわけだ。また、4K VOD(ビデオ・オン・デマンド)でハリウッドの映画作品の配信が予定されている「ひかりTV 4K」にも、Z10Xは来春アップデートで対応するという。

 テレビを買う場合、少なくとも5〜6年は使い続けるという方がほとんどなわけで、2016年(再来年ですね)には、BSの4K/8K試験放送が始まることを考え合わせると、今大型テレビを買うなら絶対4Kテレビをお勧めすべきだろう。

 中でもいち早く4K対応チューナーを搭載し、今すぐ簡単に4K番組が楽しめるZ10Xの魅力は、かけがえのないもののように思える。実際、Channel 4Kの最近の画質も6月の放送開始直後よりも着実に上がっている印象で、Jリーグの実況中継などを観るとブロックノイズ等が格段に少なくなっており、エンコーダーの改良が進んでいることがよく分かるのである。

直下型LEDバックライトの制御が変わった

 「Z9X」と比べて「Z10X」が画質面で著しく向上したと思えるのが、コントラスト表現。ともに正面コントラストに強いVAパネルと直下型LEDバックライトを採用し、エリアごとにその明るさをきめ細かく増減するローカルディミング機だが、その制御が「Z10X」は各段に巧くなった印象だ。

 平均輝度レベルが低い映画の夜の場面などを観ると、「Z9X」は暗部の階調をなんとか表現しようとするあまり黒が沈み込まず、少し浮いたように見えたのだが、「Z10X」は違う。自信満々に黒をぐっと沈ませ、しかも暗部階調も「Z9X」以上に精妙に描き分けるのである。

直下型LEDバックライトを搭載

 開発担当者に聞くと、「Z9X」のローカルディミングは、各エリアの「輝度ピーク値」を検出し、その値に応じてバックライトの光量を決めていたそうだが、「Z10X」では各エリアの「平均輝度レベル」を見ながらLEDの点灯レベルを増減するやり方に変更したのだという。この制御法の変更の効果は劇的で、液晶テレビの最大の弱点だった暗所コントラストを大幅に改善したといっていいだろう。

 65V型の「Z10X」を自室に置いて一日じっくり使ってみてまず感じたのは、65V型という画面サイズのインパクトだった。ぼくは普段、パイオニア最後の「KURO」、50型のプラズマモニターを使っているが、「65Z10X」に入れ替え、まずその大きさに一瞬たじろいだ。

 50インチ台の製品は、市民生活に溶け込んだ「テレビ」という存在そのものに見えるが、やはり65V型クラスになると、見慣れた「テレビ」という枠を越え、何か未知の巨大なエンタテインメント・マシンに対峙しているかのようなワクワクさせるサムシングがあるような気がするのだ。

 もっとも狭ベゼルのシンプルなデザインの「65Z10X」は圧迫感があまりなく、あっと言う間に部屋の空気に馴染み、以前からぼくの部屋に鎮座していたような錯覚を抱くようになるのだから、人間の感覚というのは面白い。

 「Z10X」というか、近年の東芝REGZAが興味深いのは、地デジの「タイムシフトマシン」機能や観たい番組にスムーズにたどり着けるスマート機能「ざんまいプレイ」など、一般の熱心なテレビ・ウォッチャーの気持ちをひきつけるフィーチャーを練り上げながら、いっぽうで高画質を徹底追求したいAVファンの欲求にも真摯に応えているところだ。そう、画質調整によってより高画質に近づける映像イコライジング機能の懐が実に深いのである。

「ざんまいスマートアクセス」の画面イメージ

部屋の照明を落とし、映像モードを「映画プロ」に設定する。それだけで映像全体がすっと落ち着き、よりナチュラルな質感の画質が実現できるが、「Z10X」の場合、それは高画質への一里塚に過ぎない。映画Blu-ray Disc「鑑定士と顔のない依頼人」のような超高画質作品であれば、それに相応しい個別設定が可能なのである。

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