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» 2014年12月30日 10時00分 UPDATE

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:年に一度の総決算! 「麻倉怜士のデジタルトップ10」(後編) (1/3)

この1年間を振り返り、とくに印象に残ったデジタル機器やコンテンツをランキング形式で紹介する恒例「麻倉怜士のデジタルトップ10」。後編は第6位からカウントダウン!

[芹澤隆徳,ITmedia]

 この1年間を振り返り、とくに印象に残ったデジタル機器やコンテンツをランキング形式で紹介する恒例「麻倉怜士のデジタルトップ10」。長年オーディオ・ビジュアル業界をウォッチしているAV評論家・麻倉怜士氏が太鼓判を押した製品とは? 前編に続き、今回は第6位からカウントダウン!

第6位:キヤノン「iVIS mini X」

ts_02enma02.jpg キヤノンの「iVIS mini X」を持つ麻倉氏

 キヤノンの「iVIS mini」は、自撮りに適した自由な撮影スタイルを実現するHDビデオカメラです。1年ほど前(2013年の9月)に発売された先代「iVIS mini」は、固定焦点のワイドレンズと大きめのステレオマイク、そして最初から床や机に置くことを想定した自立用のスタンドを備えていることで話題になりました。ニコ生やYoutubeなどの動画配信サイトで人気の「歌ってみた」動画の撮影も簡単にできます。

 そして今年の秋に発売された第2世代「iVIS mini X」は、製品コンセプトを継承しつつ音楽色を強め、マイクが大きくなっています。私も自分のバンドの演奏会を撮影してみましたが、音量が相当大きい上に暗い場所という難しい環境でも素直な階調で撮影ができ、音もひずまなかったことに感心しました。広角の短焦点レンズで近距離でもバンドメンバーをしっかりと抑えられます。

ts_02enma03.jpg マイクが大きくなった

 従来のビデオカメラは“何でも撮れる”というのが主流でしたが、iVIS mini Xは音楽用という新しい方向性を打ち出した点が面白いと思います。リコーの「THETA」(シータ)のようなユニークな全天球カメラなど、特定の用途に特化した製品が出てきましたね。動画の世界でも新しい方向性が打ち出されたという印象です。

第5位:シネフィルイマジカ「青い体験」

 第7位は「シネフィル・イマジカ」レーベルから発売されたBlu-ray Disc「青い体験」です。日本でもよく知られた作品ですが、実は今までDVDになっていませんでした。今回、初めてBlu-ray Disc化されたのです。

ts_02enma04.jpg 「青い体験」&「続・青い体験」Blu-rayセット<無修正版>は、2枚組で6800円(税別)

 「青い体験」は、1970年代にイタリアで大人気だった“初体験映画”の代表作。1973年の作品です。日本でも1980年代に公開され人気を呼び、これまではVHSしかリリースされていなかったことから、好事家がBDでのリリースを求めていました。奥さんを亡くした洋服屋の主人に若いキレイなお手伝いさんがきたのですが、そこに思春期の男の子が2人いて、そのうちの1人と家政婦さんの関係を描いた物語です。萌える男の子なら誰でも思い当たるようなリアリティと、でも誰もがなかなか経験できない夢の「青い体験」を、このBDなら味わわせてくれますね。内容こそエッチなコメディですが、実は画質と音質にすごくこだわっていて、画質の素晴らしさでぐいぐい見せてくれます。

 こってりとしてヌケがいい映像で、垂直方向に映像のエレメントがあるといった印象。光のDレンジの広さ、色の美しなどが相まって、臨場感、肉感的なテーマの映画にとても合っています。テーマはエッチなコメディですが、画質の素晴らしさでぐいぐい見せてくれる。黒にツヤがあり、色が濡れる。光の色が美しい。肌色のなまめかしさと、透明な階調感が素敵。生命力を吹き込んだ修復は素晴らしく、フィルム映像の大きな魅力が感じられる作品になっています。

 原題の「Malizia」とはイタリア語で「悪意」。BDには単独版と続「青い体験」とのカプリング版があります。「無修正版」が売りで、年上のお姉さんの生まれたまんまの姿がBDで初めて拝めます。1980年の地上波放映時の日本語吹き替え版も収録。お姉さんの声が「銀河鉄道999」のメーテル役の声優・池田昌子さんなので、萌えるファンは多いのです。今回は、オリジナルのイタリア語版音声を世界的なマスタリング・エンジニアであるオノセイゲンさんがリマスタリングを担当しました。音の磨き込みも素晴らしいです。

 「シネフィル・イマジカ」レーベルは古典の名画を多く扱っており、数年前にDEGジャパン・アワードのグランプリを受賞した「山猫」もここが発売しました。これまで高画質のBlu-ray Discは多くありましたが、1970年代の少ないのです。「山猫」や「アラビアのロレンス」は1960年代ですね。そんな中、世界中の名画から画質・音質に優れた作品を選び出す「シネフィル・イマジカ」は素晴らしい。日本のクライテリオンといっていい会社なので、私も注目しています。

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