ITmedia NEWS >

“DELA”にUSB-DACを接続すると? 新ファームウェアで進化したオーディオ用NAS山本浩司の「アレを見るならぜひコレで!」(1/2 ページ)

» 2015年02月23日 13時47分 公開
[山本浩司,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 2008年の初夏に英LINN(リン)の第1弾ネットワークオーディオプレーヤー「KLIMAX DS」(現在はDS/K) を購入し、ぼくはおずおずとデジタルファイル再生を始めた。KLIMAX DSを買った最大の理由は、リン傘下の「リンレコーズ」から配信され始めていたCD規格を超えるハイレゾリューション・ミュージック・ファイル(以下ハイレゾファイル)を聴き、その音のよさに驚愕したからだ。アマチュアの音楽ファンにとって縁遠い存在だったスタジオマスターがリスニングルームで聴けるよろこび。ここにハイファイ・オーディオの未来があることを確信したわけである。

リンの「KLIMAX DS/K」と 「N1Z」

 当初はネットワーク環境の構築など、PCのスキルに自信にない自分には分からないことだらけで、リンの輸入元にいろいろとアドバイスを仰ぎながらのスタートだった。

 当時は音源を保存し、ネットワークプレーヤーに配信するデジタルメディアサーバーのNAS(Network Attached Strage)もQ-NAP製などの汎用品を使っていた。もとより他に選択肢がなかったからである。

 そして昨年の春、大手PC周辺機器メーカーのバッファローから音質と使い勝手を徹底追求したという“オーディオ専用NAS”のDELAシリーズ 「N1A」と「N1Z」が登場した。「N1A」は2基の1TバイトHDD搭載機(バックアップ目的で同一ファイルを両方に記録するミラーリング設定)で、「N1Z」はより高音質が期待できる半導体メモリーを用いたSSDの512Gバイトタイプを2基搭載している。

「N1Z」と「N1A」

 音質に悪影響を与える振動抑制のため、筐体(きょうたい)設計にも意が尽くされており、「N1A」のボディは1.6ミリ厚の鋼板で覆われており、「N1Z」は各部で厚みを違えたアルミ押し出し材が用いられ、内部はH型フレームで補強されている。また、インシュレーターは両機ともに鋳鉄とナラ材のハイブリッド構造という、非常に凝ったものだ。

「N1A」のボディ内部。1TバイトHDDを2基搭載している

 クロックはともにウルトラロージッター(低位相雑音)タイプがおごられ、電源回路もストレージデバイスとLANポートに分離給電するなど、高音質のためのきめ細かい配慮が行き届いている。内部をのぞくと、なるほどオーディオセンスのよいエンジニアの手による設計だなということがよく分かる。

 また、従来のNASは電源を落とさないことを前提に設計されていたが、DELAシリーズは違う。通常のオーディオ機器同様、使うときだけ電源オン設定となり、起動時間も18〜20秒と大幅に短縮されているのも注目ポイントだ。内蔵されたメディアサーバーソフトは、最新版の「Twonky Media Server」で、DSD ファイルのストリーミングもサポートしている。

 両機の発売間もなく、実際に汎用NASと両機を自室で聴き比べてみて、その音質差に驚いた。音楽がよりつややかに、スケール豊かに描かれるようになり、それまで「NASの音」をほとんど意識していなかっただけに、その音の違いに驚かされたのである。

 約15万円の「N1A」と約70万円の「N1Z」を比べると、ピアニシモの精妙な表現で「N1Z」が上回るのは間違いないが、その音質差はさほど大きくないというのがぼくの結論。汎用NASと「N1A」の音質差が10とすれば、「N1A」と「N1Z」の差は1〜2くらいという感じだったので、納得の上ぼくは「N1A」を購入し、この1年ほど「KLIMAX DS/K」とのコンビネーションでデジタルファイル再生を楽しんでいた。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.