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4年半の歳月を経て到達した新しいサウンド、アキュフェーズ「E-470」潮晴男の「旬感オーディオ」(1/2 ページ)

» 2015年03月03日 18時53分 公開
[潮晴男ITmedia]
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 先日、偶然朝のテレビ放送を観ていたらアキュフェーズが登場した。加山雄三さんがナビゲートする「ゆうゆう散歩」というテレビ朝日の番組である。かって地井武男さんが担当していた「ちい散歩」の後継版だが、なんと、アキュフェーズの試聴室が映し出されているではないか。会長の齋藤重正さんが楽しそうに製品の解説をおこない熱心にその話に加山さんが耳を傾けている。それもそのはず加山さんもアキュフェーズ製品の愛用者だったんですね。

アキュフェーズのプリメインアンプ「E-470」。メーカー希望小売価格は54万円

 アキュフェーズは、設立まもなく現在社屋のある横浜市青葉区に本拠地を移した。ぼくの記憶では当時は人家もまばらで野原が広がっていたところにぽつんと建物があった。すでに東京の渋谷駅と横浜方面を結ぶ田園都市線は開通していたが、アキュフェーズの最寄り駅となる「あざみ野」駅はなく、その1つ渋谷寄りの「たまプラーザ」駅から伺ったことを思いだす。一昨年に創立40周年を迎えたアキュフェーズだが、その間に周辺も様変わりし、今では横浜市営地下鉄との乗り換えができる大きな街に発展している。

 しかしながらアキュフェーズは周りがどんなに変化しようとも、物づくりにおける姿勢は会社を設立した40年以上前とまったく同じ。自分達の信じる道を求め続ける信念の企業に変わりはない。この辺りのお話は昨年「E-600」というプリメインアンプを紹介した時にも記しているので、興味のある読者は読み返していただけると幸いである。

 今回はこの「E-600」と双璧となる昨年末に発売されたプリメインアンプ「E-470」だ。アキュフェーズにはプリメインアンプのほかにもプリアンプとパワーアンプのラインアップがある。よりオーディオ的な可能性を求めるユーザーにはセパレート型の製品が向いているが、音楽とオーディオのバランスを考える人に、ぼくはこうしたプリメインアンプをお薦めしてきた。

兄弟機の「E-360」(左)と「E-260」(右)

 「E-470」は「E-260」「E-360」というラインアップのトップモデルだが、プライス順にいけば「E-600」がその上に位置する。しかしながらこのモデルはパワー段の増幅形式が異なるので、ある意味で自社内でもライバルとなる製品だ。「E-470」はパワー段にAB級という方式を用いて8オームのインピーダンスを持つ標準的なスピーカーに接続した場合、チャンネル当たり180ワットという大出力をたたき出す。AB級は出力が必要な時にエネルギーを供給し、そうでない時には電流を抑えて発熱を防ぐ効率的な方式である。

背面端子

 一方の「E-600」は、純粋なA級動作を採用しているため、8オーム負荷で30ワットの出力を取り出せる。出力だけを捉えれば「E-470」のほうが優れているということになるが、方式の違いはそのままサウンドにも反映されるので、これだけで優劣をつけるのは難しい。和食とフレンチを比較してどちらが美味しいのかを問うようなものだ。要は美味しければどちらでもよいのである。

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