後の時代に、同じく中国から渡ってきたそろばんの語源は「算盤」。中国で「スアンパン」と読むことから音便化して「そろばん」になったといわれている。算木と算盤のセットに比べてはるかに携帯性の良いそろばんは、上段(天)に2つの珠、下段(地)に5つの珠がある中国版から形を変え、より珠の少なくて済む「天に1つ」「地に4つ」へ。また、珠の形もより使いやすいひし形へと変わっていった。合理性を求め、改良を重ねる日本人らしい道具の改変であるといえるが、このマインドはのちのちの計算機開発にも発揮されることになる。
日本人らしいといえば、持ち運びに便利なように折りたたみ式やロール式のそろばん、“一粒で二度おいしい”孫の手付きそろばんなども開発された。小さいもの、携帯性・実用性の高いもの、多機能なものが大好きな気質は今に始まったことではないらしい。
まるで定規のような「計算尺」も計算時に長く利用されていた。これは、英国の数学者ネピアが発見した対数を使って、乗算除算を加算減算に変換して計算するもの。細長いものだけでなく、円盤状、円筒状のものも製作されていた。特に日本製のヘンミ計算尺は使い勝手がよく、世界でもトップシェアを誇っていたという。
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