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「10倍いい音」の狙いは? ポタフェスとTSUTAYAがタッグを組んだ理由(1/2 ページ)

» 2015年04月17日 11時32分 公開
[天野透ITmedia]

 ポータブルオーディオの大型イベント「ポータブルオーディオフェスティバル」(ポタフェス)と国内のメディアレンタル事業で知られるTSUTAYAがタッグを組んだ。3月から全国8カ所を行脚中の「ポタフェス Limited」では、会場内にTSUTAYAブースを構えたり、地元のTSUTAYA店舗にヘッドフォン試聴機を用意するなどコラボ企画を展開している。この興味深い組み合わせの狙いを聞くため、TSUTAYA販促部の石田真文氏を訪ねた(注:このインタビューは両社の業務提携発表前に取材したものです)。

今回インタビューをしたTSUTAYA広報部の石田氏。TSUTAYA販促部の販売促進Unitに所属

 「私たちCCCグループは、『より良い生活提案をおこなう』というのが事業ドメイン(事業定義、活動範囲)です」と語る石田氏は、カルチュア・コンビニエンス・クラブという社名にある「文化」を「より便利に」することで、豊かな生活を提案するという企業理念を実現する手段として、スマートフォンやタブレット端末を利用したポータブルオーディオに着目したという。

 「TSUTAYAは全国に1400を超える店舗を有しており、コンテンツ分野に関しては圧倒的な強さを持つと自負しておりますが、それをお客様にどう提供するかという部分が課題でした。具体的な数字は控えさせてもらいますが、毎月かなりすごい量を利用していただいているヘビーユーザーの方もいらっしゃいます。ただ音を聴くだけではなく、より良い音楽環境を提供したいと考えていました。その手段の1つとして浮上したのがヘッドフォンを用いたポータブルオーディオだったのです」(石田氏)。

応接スペースなど、CCCのオフィスにはスタイリッシュな空間があちこちに用意されていた

 そして今回のコラボレーションを企画した背景には、「モバイル事業の本格化」と「ディスクメディアの再発見」という、2つの要因があるという。そのうちのモバイル事業に関しては、TSUTAYAのグループ会社であるCCCモバイルの設立が大きく影響している。一方で「ポタフェス」や「ヘッドフォン祭」が規模を拡大している通り、イヤフォンやヘッドフォンを中心としたポータブルオーディオ市場は賑わいを見せている。高音質化の重要性が認知され、1万円を超える高価格帯のイヤフォンやヘッドフォンも珍しくはなくなってきた。ここにTSUTAYAは着目し、スマホとオーディオを結びつけた。

 「CCCグループでは、昨年11月にCCCモバイルという会社を立ち上げて、モバイルに関わる事業を本格化させました。『スマホ自体を生活の中心に据えた生活提案をする』という考え方において、TSUTAYAとして何を発信してゆけば良いのか、このような問いに対してわれわれが出した答えが『イヤフォンでイイ音を』というものです。そのパートナーを探していたところ、eイヤホンさんのご紹介がありまして、ポタフェス2015 Limitedで共同企画を立てるという話が立ち上がりました」(石田氏)。

まだまだCDの魅力を伝えられる

 膨大な量の在庫CDを持つTSUTAYAだが、近年の音楽業界はiTunesなどのネット配信も増えており、ユーザーの需要は多岐にわたる。今までと同じことをしていたのでは先細りするという状況の中で、TSUTAYAの強みは何かということを再考した。その結果、通常の音楽配信とCDメディアとでは、圧倒的な情報量の差が見えてきたという。

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