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» 2015年05月16日 00時47分 UPDATE

ポータブルオーディオにも広がる「バランス駆動」って?――仕組みや端子の種類をまとめてみた (1/3)

今回はポータブルオーディオリスニングにおいて、特に音質向上の面で高い効果が得られる「バランス駆動」について、そのメリットや対応製品の現状を整理してみたい。

[山本敦,ITmedia]

 今回はヘッドフォン/イヤフォンによるポータブルオーディオリスニングにおいて、特に音質向上の面で高い効果が得られるものとして注目度が高まりつつある「バランス駆動」について、そのメリットや対応製品の現状を整理してみたい。

 一般的なヘッドフォンの駆動方式として多く採用されている「アンバランス駆動」(またはシングルエンドとも呼ばれる)では、「+/プラス極」にアンプ(正相)からの音声信号が、「−/マイナス極」にはGND(グランド/アース)が左右のチャンネルそれぞれにケーブルで伝送され、左右のドライバーを2台1組のアンプ回路で駆動する仕組みになる。ケーブル内部で左右のグランドが共通化されているので、合計3本の信号線が配置されるかたちだ。

ts_balance02.jpg アンバランス駆動(シングルエンド)のイメージ

 プラグは2カ所のリング状の樹脂で絶縁された3極構造になり、これをアンプ側のジャックに接続する。アンバランス駆動のメリットとしては、製品本体の製造コストが低く抑えられたり、機器の小型化にも結びつけられることなどが挙げられるが、グランドを共通化してしまうことで左右チャンネルの信号がグランドに流れ込んでしまい、電位に影響がおよんで総体的な音質劣化を招くという弱点もある。

 対するバランス駆動では左右のグランド側にもアンプ(逆相)を接続し、1台のドライバーユニットを2台のアンプでドライブする。4台2組のアンプ回路を使いながら、「左chの+とー」「右chの+とー」という合計4本の線で音声信号を伝送して左右のドライバーを駆動する。クロストークと呼ばれる干渉ノイズが抑えられることから、左右チャンネルのセパレーションがより明瞭(めいりょう)になるとともに、ステレオイメージも一段と上がる。左右のチャンネルがL+/Lー、R+/Rーと正相・逆相の信号を対で動かしながら信号振幅をつくり出すので、アンプの負荷が減り、ドライバーをより高効率に駆動できるのも特長だ。聴感的な効果としては音の立ち上がり・立ち下がりの瞬発力が高まり、アタックのキレ味や正確性が増す効果も期待できる。

ts_balance01.jpg バランス駆動のイメージ

 バランス接続による高音質環境を実現するためには、バランス駆動に対応するDAC内蔵ヘッドフォンアンプ、ヘッドフォン・イヤフォンとケーブルがそれぞれ必要だ。ケーブルには4つの信号を独立して送るための線を配置して、それぞれに分離された信号をアンプからヘッドフォンに伝えるための4極構造のプラグが求められる。

 ところが実際には、このバランス駆動のための接続端子が規格として統一されているわけではないため、現状はさまざまな形状・サイズの端子が存在している。一言でバランス駆動、バランス接続に対応しているとうたっている製品でも、単一のメーカーがバランス対応のヘッドフォンとアンプの両方を製品化している場合を除き、端子形状の互換性をよく調べてからでないと、せっかく買った製品が接続できなくて、音楽リスニングが楽しめないということになってしまう。以下に代表的なバランス接続対応の端子の種類と、それぞれの対応製品を紹介しよう。

3ピンXLR端子×2

ts_balance15.jpg パイオニアのヘッドフォンアンプ「U-05」。3ピンのXLR端子、4ピンのXLR端子の両方でバランス対応のヘッドフォンに接続ができる。本体サイズは据え置き型

 まずは3ピンのXLR端子を左右それぞれのチャンネルにつなぐパターンがある。パイオニアの「U-05」、ラックスマン「P-700u」、Nmode「X-HA1」、グラストーン「HPA-30W」などの製品がこれを採用する。プラグは正相(+)/逆相(ー)/グランドのピン配置になっていて、2つの端子をアンプにつなぐ。端子の構造が頑丈で接続の安定性も高いのだが、2基の端子を搭載しなければならないためアンプにはその分だけ端子を置くためのスペースが必要になる。

4ピンXLR端子

ts_balance03.jpgts_balance09.jpg ゼンハイザーのヘッドフォンアンプ「HDVD 800」。HD 800とのバランス接続に対応する専用ケーブル「CH 800S」など純正のアクセサリーも展開する

 続いて同じXLR端子だが、1つのプラグに正相・逆相の+とー、合計4極ぶんのピンをまとめて配置するタイプもある。搭載モデルにはゼンハイザーの「HDVD 800」、OPPO「HA-1」、B.M.C. Audio「PureDAC」、Aurorasound「HEADA」などの名前が挙げられる。パイオニア「U-05」は3ピンのXLR端子を2基に加えて、こちらの4ピンXLRを1基設けたハイブリッド構成である点が特徴的だ。なお、ゼンハイザーは同社のプレミアムクラスのヘッドフォン「HD 800」「HD 700」「HD 650/HD 600」用の純正リケーブルを発売している。

ts_balance07.jpg OPPO「HA-1」も4ピンのXLR端子でのバランス接続に対応。オプションのケーブルで同社のヘッドフォン「PM-1」「PM-2」に接続できる

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