ファイナルオーディオは、このヘッドフォン祭では毎回来場者の目をひく注目機を展示するブランドの1つだ。今回も飛びきり注目度の高いヘッドフォンを携えて参加してきた。新シリーズの「SONOROUS」だ。
シリーズの内訳に関する詳細は別記事に譲るとして、今回は上位機種である「SONOROUS VIII」と「SONOROUS X」を聴いたインプレッションを報告したい。
なお、両モデルは7月の中旬から下旬頃の発売を予定しているが、価格は「VIII」が38万8000円、「X」が62万9000円という、これまでの超高級ヘッドフォンの記録を軽く塗り替えてしまう超弩級プライスとなっている。
はじめに「SONORUS VIII」から聴いた。アルミ削り出しのハウジングにチタン振動板を組み合わせた50ミリダイナミック型ドライバーユニットを1発搭載。ステンレス切削筐体による密閉型ヘッドフォンだ。ボーカル系の楽曲は驚くほどに声の再現が濃厚。ウェットで艶めかしい女性ボーカルは特に絶品だった。ロックやジャズの低域は量感が豊かでスピード感も極めて鋭く、しかも重心が低く安定感たっぷりだ。
上位の「SONORUS X」と「VIII」との大きな違いは、「X」にはフロントプレートを一体成形としたアルミ切削ハウジングに薄膜成形のチタン振動板を組み合わせた50ミリダイナミック型ドライバーユニットが採用された点だ。またエンクロージャーも、「VIII」は硬質ABS素材を使っているが、「X」はアルミ切削筐体としている。
サウンドは「VIII」よりもいっそう濃厚な情報量を引き出してくる。中高域の余韻の広がりは一段とリッチに、低域のリズムはフォーカスがビシっと定まってくる。オーケストラは楽器の音色表現が色鮮やか。立体的な空間表現力にも長けている。
筐体にはふんだんにメタル素材を使っているため、手に取るとずしりとした重みを感じるが、身に着けた時のフィット感は上々でバランスも良い。インピーダンスはともに16オームで、ポータブルオーディオプレーヤー単体でも鳴らしやすいヘッドフォンという感触を得た。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR