インタビュー
» 2015年05月20日 10時15分 UPDATE

滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」:パナソニックの創風機「Q」――奇抜なフォルムはデザイン先行ではなく技術者の発想だった (1/2)

パナソニックの創風機「Q」。メーカーカタログにも、“What is this?”と書かれているように、球形のユニークなフォルムに目がいく。そんな形状はどうやって産み出されたのだろうか? 同製品開発担当の吉田哲也氏に詳しい話を聞いた。

[滝田勝紀,ITmedia]

 奇抜すぎるルックスは一見何をするモノか分からず、デザイン先行で作られた製品だと勘違いする人も多いだろう。しかし、パナソニックの“創風機”「Q」の特殊なフォルムは、効率的に風を生み出すための必然であり、技術者が考案したものだった。同製品開発担当の吉田哲也氏に詳しい話を聞いた。

ts_panaq09.jpg パナソニックの“創風機”「Q」。カラーはパールホワイト、クリスタルレッド、シャンパンゴールドの3色。ムラが出ないように1つずつ手塗りで仕上げている
ts_panaq01.jpg パナソニック エコシステムズ IAQビジネスユニット空質家電ディビジョンの吉田哲也氏

 「もともと『Q』の原型は、社内で開催されたプレゼン会議『ヤングワーキング』で2012年頃、技術担当の若手から提案されたものでした。プレゼン段階から実は8割方、現在の製品と同じ形状で、実際に特許を取得した際に提出した図にも既に製品と同じような技術の詳細が書かれています」。

 公開されている特許公報を確認すると、同製品に関する特許が出願されたのは2012年7月。当時の設計図と現在(2015年5月発売時)のカタログなどに描かれているイメージ図の仕組みはほぼ同じだ。このことからもフォルムが技術先行であることが分かる。

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ts_panaq06.jpg 特許公報により公開されている図。技術者が描いた時点で、現在の製品とフォルムはほとんど変わらない

 では、実際にどんな仕組みで「Q」は風を作り出すのだろうか? 

 仕組みはこうだ。内部のDCモーターの回転により、背面から空気を吸い込み、内側の流路を通って、前方の吹出口から噴出気流を発生させる。前方の気圧が高まることで、本体周辺の気圧は必然的に下がり、その気圧差から周囲の空気が本体内側へと誘引。一旦、内側の空間に集められた空気が一気に押し出されることで、増幅された「ターボ気流」として直進的な風が生み出される。

ts_panaq02.jpg 創風される仕組みを図解するとこんな感じ。ファン風量と誘引風量のトータル風量がターボ気流だ

 「実はターボ気流の技術は、以前から社内に存在していました。今回はその技術を新しい方法で実現したことと、そこに低騒音化などを実現する技術を加えたのがポイントです。例えば周囲の穴のサイズや形、流入口を滑らかにするといった細かな工夫を加えて開発を進めました。また、内部の空洞に周囲から誘引された空気が1回集められて溜まり、そこから前方の送風口の穴へと送り出され、ターボ気流となってパワフルに噴出されるのです」

ts_panaq07.jpgts_panaq08.jpg 周囲の誘引される空気の流入口は滑らかな仕上げ(左)。本体内側に空気を一度ためてから、放出されるのがポイント(右)

 最も気になるところは球体の周囲と前方にある穴だろう。それぞれに最適な風を産み出すための相関関係がある。

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