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全国行脚で分かった地域性の違い――「ポタフェス Limited」ロングインタビュー(前編)(1/4 ページ)

» 2015年07月22日 11時37分 公開
[天野透ITmedia]

 3月末から3カ月におよぶ全国キャラバンを行った「ポータブルオーディオフェスティバル(ポタフェス)2015 Limited」。その総括として、常に会場の入口に立って来場者を出迎え続けた広報担当の松田信行氏、そしてポタフェス事務局長として運営に努めた岡田卓也氏に話を聞いた。データでは見えない地域ごとの特色や広島での想定外の出来事、そして過去最大規模になることを予定している年末の秋葉原など話の内容は多岐にわたる。このロングインタビューを、前編後編に分けて余すところなくお伝えしよう。

ポタフェス2015 Limitedのポスターを囲む松田信行氏(左)と岡田卓也氏(右)

大盛況の名古屋

 全国キャラバンのスタート地点となった名古屋には、雑居ビルの一室に2500人ものファンが詰めかけ、開場してすぐは目当てのコーナーに辿り着けないほどの混雑ぶりを見せた。入り口で来場者を出迎えた松田氏は、あまりの熱気に「これは予想外」と驚きながらも、現金文化や来場者が普段機材を購入する環境など、名古屋特有の“におい”を嗅ぎとったという。

松田氏:名古屋は色んなモノが先端的にあるのかと思ったけど、意外とヨドバシカメラさんがなかったりして、ポータブルオーディオの試聴場所は多くないんですよね。なので、名古屋は人であふれかえっていました。開場してすぐは会場に入りきれずに戻る人もチラホラいらっしゃいましたよ。

岡田氏:名古屋は「とにかく店を作ってほしい!」という声が多かったですね。「東京あって大阪あったら名古屋でしょう!」っていう感じです。それから、名古屋ではハイレゾプレイヤーが物販コーナーでの売上の2割を占めていたんですよ。意外と普及していないんだなと感じましたね。

松田氏:ポタアンで2段、3段重ねの「お弁当箱状態」の方をよく見ましたね。ハイレゾプレイヤーの存在が気になっていたけれど、音は未だ聴いてない方が多いように見えました。

岡田氏:たぶん、ハイレゾプレイヤーが上手く販売されていないんじゃないでしょうか。

――地方に行くと、まずハイレゾプレイヤーを売っているところが多くないんでしょうね。なので、ハイレゾを使いこなせている人も少ない。キャラバンを通して「そもそもハイレゾって何?」という声も少なからず聞きました。

松田氏:そんな状態で入手先がインターネット通販となると、やはりレビューが出ていても買いにくいですよね。

岡田氏:Lotooの「PAW GOLD」などは「こんなのがあったの?」という方が多く、実際に聞くと「良いけど高いね!」という感想を聞きました。そもそもどんな製品があるのかを今回初めて知った方や、実物を初めて見た方も多かったみたいですよ。

あと、名古屋はイヤモニ(カスタムIEM)の試聴も凄かったです。

松田氏:まるで野外ライブみたいな混雑ぶりでしたね。

岡田氏:あの場所で、あれだけ人が来て、これだけお買い物してもらえると、もっとちゃんとした場所でやってもイベントとしてきっと成立しますね。それくらい名古屋はアツかったです。

松田氏:小型店を出店してもいいくらいですね。「聴きたかった」「見たかった」「買いたかった」そんな思いがヒシヒシと伝わってきました。

名古屋会場で最新のハイレゾプレイヤーを熱心に試聴する来場者

岡田氏:あと名古屋の特徴としては、現金を使う方が多かったようにも感じます。

松田氏:現金派は確かにいましたね。入り口で「これだけお金持ってきたんだけど」と声をかけられて、15〜17万円を用意してきた方がいたんですよ。で、何を買うかはノープラン。「一回これは聴いた方がいいですよ」ということで、定番品や評判のものをいくつかご紹介しました。別の方で試聴の後に「今から現金おろしてくる!」という声も聴きましたよ。

岡田氏:名古屋はイベント前日に開催をした飲み会も盛り上がりましたね。前夜祭として出展者と運営と一般の方が入り混じった会を毎回開いたんですけれど、一般の参加者は大阪の次に多かったです。

松田氏:こういうイベントを待ち望んでいた人が本当に多かったみたいですね。中には大阪や広島などでお見かけした人もいらっしゃいます。そういう人たちは今まで買い物の度に東京に来ていたのだそうですよ。なので「良かったですよ、来てくれて!」と、本当に感謝されました。いやあ、うれしかったですよ!

日程間違えた?――街が赤一色に染まった広島

 続いての広島は、「街が赤一色。そこに持って行かれた感があり、名古屋とは別の意味で予想外でした」と、海をわたって帰ってきた“赤い黒船”に泣かされたという。しかし物販の客単価は最も高いという興味深い一面もあり、普段の営業ではなかなか見えない、多様なユーザーの顔を見られる一日となった。

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