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» 2016年01月27日 10時00分 UPDATE

野村ケンジプロデュース:は・じ・め・てのアナログレコード♪ ――ハイレゾ音源と比較してみた (1/3)

最近、アナログレコードが人気だ。ハイレゾ音源や、手軽なストリーミングサービスが簡単に使える現代にあって、なお人の心を引きつけるアナログレコード。その魅力を20代のオーディオファン2人に体験してもらった。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 最近、アナログレコードが人気だ。日本レコード協会が毎年発表している音楽メディアの生産量実績では、2009年に底を打ってから右肩上がりを続け、2015年は前年比65%アップの66万2000枚と確実に復調している。海外ではさらに顕著で、2006年から2014年まで8年連続で生産量が増加。年初に米ラスベガスで開催された「CES 2016」では、ソニーやテクニクス(パナソニック)、ティアックといったブランドがアナログターンテーブルの新製品が発表しており、業界も注目していることが分かる。

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 マスター音源に近いハイレゾ音源や、手軽にたくさんの楽曲を聴けるストリーミングサービスが簡単に使える現代にあって、なお人の心を引きつけるアナログレコード。しかし、オーディオメーカー各社に話を聞くと購入者は40代以上のベテランオーディオファンが中心で、若い人たちには浸透しているわけではないという。アナログレコードが本当に定着するには、新しいユーザー層が必要だろう。

 そこで今回は、ちょっとした実験を企画した。ITmedia社内でポータブルオーディオを趣味としている若い社員2人(営業部の福山、PC USER編集部の山口)をAVライター、野村ケンジ氏の試聴室に連れていき、アナログターンテーブルのセッティングからハイレゾ音源との比較試聴までを体験してもらう。普段はハイレゾプレーヤーとイヤフォンでアニソンを中心に音楽を楽しんでいるイマドキのオーディオファンは、アナログレコードに何を感じるのだろうか。

ts_analogrecord03.jpg おそるおそるレコード盤を持つ2人。大きなジャケットは「迫力があっていいよね」と気に入った様子

 ちなみに2人とも24歳で、アナログレコードに触れた経験は一切なし。それでも未知のメディアに対しては興味津々のようで、モルモットにされることを快諾してくれた。

ターンテーブルを組み立てよう!

 アナログレコードは、ビニール製の円盤に音を振動波形として溝に刻み込んだもの。盤面の回転により、溝に置いた針が微細な振動を捉え、電気信号に変換する仕組みだ。デジタルデータと違って情報の読み出しに物理的な接触を伴うため、そのセッティングはデジタルオーディオ機器と比べてシビアといえる。

 今回はティアックの協力でアナログターンテーブル「TN-350」とプリメインアンプの「AX-501」、および同軸2Wayタイプのコンパクトスピーカー「S-300NEO」というシステムを組む。最初は調整が容易で、価格的にも手頃なシステムで体験してもらうのが主旨だ。

ts_analogrecord09.jpg 手前の赤みがかったスピーカーが「S-300NEO」

 調整の前にTN-350を組み立てる。可動部が多いアナログターンテーブルは、バラバラにして梱包されているからだ。最初に本体を頑丈で平坦な場所に本体を置き、水平になっていることを確認。円形のターンテーブルを取り出して本体中央のセンターシャフトに取り付ける。さらにターンテーブルの内側に巻き付けてあるゴムベルトを丸い窓から指で引き出し、モータープーリーにひっかける。TN-350は「ベルト駆動式」で、モーターの回転をターンテーブルに伝えるためにゴムベルトを使用するのだ。

ts_analogrecord12.jpg よってたかって組み立て中

ts_analogrecord13.jpg ゴムベルトを丸い窓から指で引き出し、モータープーリーにひっかける

 ターンテーブルの上に保護ラバーシートをのせたら、次はトーンアームの組み立て。お尻側に「カウンターウエイト」という“重り”を装着し、先端には「カートリッジ」の付いた「ヘッドシェル」を差し込む。ナット部分をまわして固定すれば組み立ては完了だ。文章で書くと複雑に思えるが、TN-350の場合は付属の説明書に図解入りで詳しく書かれているので心配はいらない。

ts_analogrecord14.jpg とりあえず完成した

カートリッジとヘッドシェルってどう違うんですか?


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カートリッジはレコード針が拾った振動を電気信号に変換する、いわばレコードの心臓部。ハイレゾ再生でいえばDACみたいなものだね。カートリッジには大きく分けてMC型とMM型の2種類があって、それぞれメーカーや製品によっても音が違う。ヘッドシェルはカートリッジをアームに接続するためのアダプターのような部分。針やカートリッジの交換を容易にしてくれる。


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MM型とMC型ってどう違うんですか?


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MM(Moving Magnet)とMC(Moving Coil)は、マイクでいうとダイナミック型かコンデンサー型かのような違い。増幅する電圧が違う。MCは、より丁寧な細やかな表現を得意としているけど、電気信号が電圧的に低いため、機器の方でしっかり増幅しないとならない。MMはMCほどセンシティブではないので、普及機は標準でMM型になっていることが多い。TN-350の場合、MM型のカートリッジが付属して、MM型対応のフォノイコライザーが内蔵されているから初心者にもおすすめだね。


フォノイコライザーって何ですか?


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レコード盤に音を刻み込むとき、低い音や大きい音ほど振幅が大きくなるんだ。そうすると溝を大きく削ることになるんだけど、そのままだと不可能なくらい幅広く深い溝になってしまうため、実際には低域側のゲインを下げて記録し、再生時にそれをフラットに戻す仕組みになっている。その役割を持っているのがフォノイコライザーという回路だ。

 昔はアンプ側に内蔵されているのが普通だったけど、最近「フォノ入力」を持つ製品は一部のAVアンプくらいで非常に限られている。一方、フォノイコ内蔵のプレーヤーは1万円前後の低価格製品が主流で、「TN-350」のような本格的なプレーヤーにフォノイコが付いているケースは珍しい。接続するアンプを選ばないから、これからアナログレコードを試したいオーディオファンにはちょうどいい。


ts_analogrecord11.jpg TN-350の背面。「PHONO EQ」はオンとスルーの切り替えが可能。スルーにすれば、アンプ側あるいは外付けのフォノイコも利用できるため、将来のシステムアップも容易
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